遺品整理や不用品回収、便利屋などの会社が買取を始めるなら、品物を買い取る前に古物商許可を取り、見積書では作業代と買取額を分けて見せ、買った物の売り先を先に決めておきます。
この記事は、本業で家の中の品物に触れている会社の社長や担当者に向けて書いています。
「これ、売れますか?」と聞かれても値段が分からない、古物商の許可が要るのかどうか分からない、作業代との差し引きでもめたくない、という悩みを、業種ごとの入口で整理しました。

買取店ではない会社が、真贋を断定する必要はありません。
この記事でも、本物か偽物かではなく、「当社の査定基準で基準内か基準外か」と書きます。

許可の取り方古物商許可の取り方⁠|資格は要る?申請の流れ・必要書類・手数料・日数

1業種ごとの買取の入口の地図

同じ「家の中の品物」でも、業種によって、売れる物に出会う場面が違います。
入口が違えば、困ることも違うので、業種ごとの記事に分けました。

業種品物に触れる場面買取の入口詳しい記事
遺品整理一軒分の品物を仕分ける。貴金属・ブランド品・カメラ・骨董などが混ざる仕分けの時に売れる物を分け、買取額を見積書に載せる遺品整理の会社
不用品回収家具・家電・日用品が中心。値段がつかない物が多い値段がつく物だけを買い取り、残りは処分にする不用品回収の会社
便利屋作業の途中や電話で「これ引き取れる?」と聞かれる聞かれた時の答え方を決める便利屋
不動産売却前や退去後の家に、家財が残っている所有者の同意を得て、売れる物を拾う不動産の会社
解体解体の前に、家財が残っている解体前の仕分けで、処分する量を減らす解体の会社
引越し荷造りの前後に、持っていかない物が出る当日の判断と、梱包前の確認引越しの会社
清掃物があふれた家の中から、貴金属や現金が出てくる見つけた時の扱いを決める清掃の会社

出典:佐野真の整理。業種の分け方は、家の中の品物に触れる場面で分けた一例です。

私がいた会社でも、実家じまいの現場に入る仕事は、片付けの見積もりと買取の2つでした。
お客様に困りごとがあるのは片付けのほうで、お金をいただけるのは買取のほうです。
片付けの作業は、提携している別の会社が受けることもあります。

2作業代と買取額を分けて見せる

買取を足した時に、もめることがあるのが、作業代との差し引きです。
見積書の書き方は、次の2つに分かれます。

見せ方お客様に見えること起きやすいこと
差し引きだけ書く支払う金額だけ。何がいくらで売れたかは見えない「もっと高く売れたのでは」と疑われる。説明を求められる
2行に分ける作業にいくらかかり、品物にいくらついたかが見える書く手間は増えるが、値段の根拠を説明しやすい

お客様のお支払いは、作業代から買取額を引いた金額です。
見積書には、「作業代」と「買取額」を別の行で書き、最後に差し引きを書きます。
買取額の行には、品名、点数、金額を並べます。

見積書の行書くこと
作業代人数、日数、運搬、処分にかかる費用(家庭の不用品の運搬・処分は、許可を持つ提携会社の分)
買取額買い取る品の名前、点数、1点ごとの金額
差し引き作業代から買取額を引いた、お客様のお支払い

出典:佐野真の整理。金額の例は、作り物になるので載せません。

船橋市は、無許可の業者が作業料と称したり、ほかの有価物と相殺したりして、回収料を取られていると分かりにくくなる例に注意を呼びかけています(令和4年2月28日更新・2026年11月4日に確認)。見積書で作業代と買取額を分けるのは、買取額を正しく示すためです。家庭の不用品の運搬や処分を作業代に入れるときは、一般廃棄物の許可を持つ会社が行う分に限ります。

同じ10万円でも、満足していただける10万円と、不満が残る10万円があります。
金額だけを伝えると、どこか冷たく聞こえます。
お客様は、自分の大切にしてきた物が、どう扱われたかを見ています。
だから、何を、どういう根拠で、その値段にしたかを、丁寧に伝えます。

買い取る品を見つける時間も、見積もりに入れておきます。
私が見た現場では、片付けだけなら3LDKでも4LDKでも、3人ほどで朝から夕方までの1日で終わりました。
ただ、買い取れる品物をきちんと見つけるために、先にもう1日かけて仕分けました。
買取の品を見つける1日と、そのあとの片付けの1日、という流れです。

3古物商許可が要る場面と、別に要る許可

古物商許可は、中古品を買い取って売る商売をするための、公安委員会の許可です。
申請の窓口は、営業所を管轄する警察署です。

場面古物商許可
お客様から中古品を買い取って、売る要る
売れる品を預かり、売れた分から代金を渡す(委託売買)要る。古物営業法では、売買・交換・委託売買が古物営業に入る(第2条第2項第1号)
作業だけを請け負い、品物はお客様が自分で処分する古物を買わないので、この点では要らない。ただし、ごみを運ぶ場合は次の別の許可を確かめる

出典:古物営業法 第2条・第3条(e-Gov法令検索・2026年11月4日に確認)。

許可を取れば、お客様の家にうかがって買い取ることもできます。
古物商は、営業所か取引相手の住所・居所以外の場所で、古物商以外の人から古物を受け取ってはならない、と決められているからです(第14条第1項)。
お客様の家は、取引相手の住所にあたります。
古物営業法の面ではできますが、自社がお客様の家で買い取る場合は、特定商取引法の訪問購入にもあたります。頼まれていない勧誘の禁止(第58条の6)、書面の交付、書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフ(第58条の14)、その間はお客様が引き渡しを拒めること(第58条の15)が決まっています。対象外の物品もあるので、始める前に消費者庁や経済産業省の案内で確かめてください。

許可を取ると、買い取る時の決まりも始まります。
相手の真偽の確認(住所・氏名・職業・年齢の確認など。第15条第1項。少額の取引などの例外は規則で決まっているので、警察署に確かめます)、帳簿への記載(第16条)、不正品(盗品など)の疑いがある時の警察官への申告(第15条第3項)です。
許可を取らずに営業すると、3年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金になります(第31条)。

出典:古物営業法 第14条・第15条・第16条・第31条(e-Gov法令検索・2026年11月4日に確認)。手数料や日数は、古物商許可の取り方に書きました。

家庭の不用品を運ぶ許可は、別です

家庭から出る不用品は、廃棄物処理法では一般廃棄物にあたります。
これを業として集めたり運んだりするには、その区域を管轄する市町村長の許可が要ります(廃棄物処理法 第7条第1項)。
古物商の許可や、産業廃棄物の収集運搬の許可では、家庭の不用品は回収できません。
無許可で行うと、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方になります(第25条第1項第1号)。

出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条・第7条・第25条(e-Gov法令検索・2026年11月4日に確認)、東京都環境局のリーフレット「不用品回収をしないで!」(令和6年10月発行・2026年11月4日に確認)、柏市「『無許可』の違法な不用品回収業者に依頼をしないで!」(令和7年2月21日更新・2026年11月4日に確認)。許可の取り方や新規の受け付けは、市町村で違います。事業を決める前に、その市町村の廃棄物の窓口に確かめてください。

4売り先の持ち方3つの比較

買い取った物は、売れなければお金になりません。
目利きの力より前に、売り先の持ち方で、買取の続けやすさが決まります。

比較のポイント自分で売る1社に売る何社かに写真で値をつけてもらう
売り先ネット販売やフリマなど、一般のお客様近くの買取店など、1つの会社その商材に強い専門業者が、複数
値段の決まり方自分で決める。高く売れやすいその1社が決める。比べる相手がいない各社が写真を見てつけた値段を並べて、1社を選ぶ
手間撮影・出品・発送・問い合わせが全部自分持ち込むだけ。手間は少ない写真を撮って送る。売ると決めた物だけ発送する
目利きの力品物を見分ける力が要る先方が見るので、自分は要らない専門業者の基準内・基準外の判断を受け取る
在庫売れるまで持つ持たない持たない
気をつけることばらばらの商材をネットで売るのは難しい。在庫も持つ一般のお客様と同じ扱いになりやすい検品で値段が下がることがある。悪い点を隠さず伝える

出典:佐野真の整理(買取店の現場の経験)。どれが一番よい、という答えはありません。商材と量で変わります。

遺品整理や不用品回収の会社は、売り先を知らないことが多いと、私は感じています。
業者から直接の相談を受けたことは、私にはありません。
近くの買取店に持ち込んで、一般のお客様と同じ扱いで売っている会社が多いようです。
買取店をやっていると、遺品整理や不用品回収の方が、お客様に混じって持ち込んでくることがあります。
この品は本物か、いくらぐらいになるか、と聞かれます。

売り先は、専門化していくほど、高く売りやすくなります。
専門業者は、その商材に強い会社なら、即金で買い取ってくれることがあります。
ばらばらの商材を、自分のネット販売だけで売ろうとすると、難しくなります。

3つ目の持ち方の例

3つ目の持ち方の例が、査定お任せくんです。
公開ページには、次のことが書かれています(2026年11月4日に確認した表示)。

  • 依頼者になれるのは、古物商の許可を持つ事業者だけ。登録の時に許可番号を入れる
  • 写真を送ると、専門業者の査定基準に照らした見立て(○・△・×)と、値段が届く
  • 専門業者の営業時間内なら、受けるまで15分、値段が届くまで15分が目安。見積もりは先着5社か、最初の見積もりから30分で締め切られる
  • 売るボタンを押した時だけ売ることになる。値段を見るだけでもよい
  • 代金は専門業者の検品のあとに支払われる。検品で値段が下がる時は、理由と写真つきで連絡が届き、承諾か返送を選べる

出典:査定お任せくん(satei-omakase.com)の公開ページ(2026年11月4日に確認)。見立ては専門業者の意見で、公式の鑑定でも保証でもありません。商材によって、値段が届くものと、見立てだけが届くものがあります。申し込む前に、最新の表示を確かめてください。

お任せくんを使った時の1年の費用

項目金額(税別)メモ
月額6,980円1店舗あたり。ベータ版の価格で、先着30店・2027年6月30日までの申込が対象。月単位で、いつでも解約できる
1年(12か月)83,760円(約8.4万円)6,980円×12。使わない月もかかる
成約の手数料なし依頼者(査定に品物を出す側)には、成約の手数料はかからない
振込1回380円代金を口座に送る1回ごと。月に1回の設定なら、1年で4,560円

出典:査定お任せくん(satei-omakase.com)の公開ページ(2026年11月4日に確認)。ベータ版の価格なので、ずっとこの価格とは限りません。見直すときは30日前に知らせがあり、合わない場合は解約できます。申し込む前に、最新の表示を確かめてください。

許可がない会社の順番

  1. 古物商許可を取る先に許可がないと、買い取りも、お任せくんの登録もできません。取り方は古物商許可の取り方に書きました。
  2. 許可が取れたら、お任せくんに登録する登録には、店ごとの古物商の許可番号と営業所の住所が要ります。
  3. 売れそうな品を見つけたら、写真を送る値段を見て、売ると決めた品だけ送ります。

この持ち方なら、目利きに自信がなくても、売れる品を見つけた段階で値段を聞けます。
古物商の許可は、先に必要です。
売り先の持ち方を決めてから、買い取る品を絞ると、在庫を抱えずに始められます。

売り先の比較買取店の売り先の比較⁠|業者オークション・古物市場・専門業者・ネット販売の違い

5よくある質問

遺品整理や不用品回収の会社が買取を始めるのに、古物商許可は要りますか⁠?

お客様から中古品を買い取って売るなら、要ります。
作業だけを請け負い、品物をお客様が処分する場合は、古物を買わないので要りません。
無許可で古物営業をすると、3年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金です(古物営業法 第31条)。

古物商許可があれば、家庭の不用品を集めて運べますか⁠?

運べません。
家庭の不用品を業として集めて運ぶには、市町村長の一般廃棄物の収集運搬の許可が要ります(廃棄物処理法 第7条第1項)。
古物商の許可や産業廃棄物の許可では、代わりになりません。許可を持つ会社と提携する方法もあります。

作業代と買取額は、どう分けて見せますか⁠?

見積書の中で、「作業代」「買取額」を別の行で書き、最後にお客様のお支払いを書きます。
買取額の行には、品名、点数、1点ごとの金額を並べます。

目利きに自信がなくても、買取を足せますか⁠?

足せます。
迷った品は、その場で値段を言わずに預かり書で預かり、専門業者に写真で聞く、という方法があります。
値段を決めるのは専門業者の判断で、買うかどうかは、自社の基準で決めます。

古物商許可には、いくらかかり、どのくらい待ちますか⁠?

申請の手数料は19,000円で、審査の期間は40日が目安です(滋賀県・京都府の審査基準)。
書類に不備があると延びます。詳しくは、古物商許可の取り方の記事に書きました。