「鑑定士になるには、資格が要るのか」
「買取のバイトは、未経験でも務まるのか」
買取店で働いてみたい方に向けて、仕事の中身と、未経験からの覚え方を、私が現場で見てきたことをもとに書きます。
給与や休日などの条件は、募集をしている会社ごとに違うので、この記事には書きません。
仕事の中身を知ってから、条件を見ても遅くありません。
1買取店の仕事は、接客・査定・売り先の3つ
店によって比重は変わりますが、土台になる仕事は3つです。
| 仕事 | 中身 | 身に |
|---|---|---|
| 接客 | 持ち込まれた品の話を聞く。思い出や背景も含めて聞き、値段の説明まで行う | 聞く力。簡単な質問から入り、話しやすい空気を作る |
| 査定 | 品物を見て、本物かどうか、状態、今の相場から、買う値段を出す | 目利きと相場の知識。自店の査定基準 |
| 売り先 | 買った品を、売れる所へ回す。業者オークション、専門業者、ネットなど。それぞれ一長一短がある | どこで売れば値段がつくか、という感覚 |
出どころ:目利き一郎の整理。会社と店で分担は違います。
お客様の多い店は、ほぼ一日中、接客をしています。
査定にかかる時間は、数点なら慣れた人で5〜10分、品数が多ければ1時間以上かかります。
熟練した人は、品を見ただけで自店の査定基準で基準内かどうかを判断し、売値もすぐに出します。
売値が出れば、買取の金額も出ます。
お客様がいない時間の使い方でも、仕事の中身は変わります。
店長になると、口コミへの返信、Googleの店舗情報の更新、広告やチラシの作戦、エリアの分析なども仕事です。
2この仕事の面白さ
中古品に、同じ物はありません。
同じ型番でも状態が違い、見たことのない品に、毎日のように出会います。
お客様と話すのも面白く、私は全然飽きませんでした。
査定の力は、一度身につくと、どこでも使えます。
品物を見た瞬間に値段の見当がつく、という力は、長く続けた人にしか育ちません。
3向いている人は、聞き上手な人
面接でよく聞かれるのは、「数字を上げられるのは、どんな人か」です。
営業上手、話上手な人と思われがちですが、私は逆だと思っています。
簡単な質問を投げ、お客様が話しやすい空気を作り、そこからさらに深く聞いていく。
品物の思い出や背景まで聞ける人には、自然とリピーターがつきます。
以前、喋りがまったく得意ではない人を採用したことがあります。
覚えるのはとても遅く、正直、なぜ採用したのかと思いました。
けれど、その人は話を聞くのがとても上手でした。
店長になるまでには時間がかかりましたが、買取の仕事にはまり、力を伸ばしていきました。
| これまでの経験 | 買取で |
|---|---|
| 販売 | お客様を見る目。その人が買うつもりで手に取っているのか、見ているだけなのかが分かる広い目は、買取でもそのまま使える |
| 営業 | 人との交渉と、相手の懐に入る力 |
| 服・ファッションが | 服の宅配買取では、新しい物が好きな人が伸びる |
出どころ:目利き一郎が現場で見てきたこと。向き不向きには個人差があります。
4未経験からの覚え方
最初から全部できる必要はありません。
私のいた会社では、座学と真贋の基礎で2日の研修をして、そのあと店に配属し、先輩と一緒に査定を覚える形にしました。
長い研修は、新人が飽きてしまったからです。
早く店に立ち、不安がないよう、先輩が横につきます。
伸びる速さは、人によって違います。
スキルがあれば、入社から6か月で店長になった人もいました。
| 順番 | やる |
|---|---|
| はじめ | 座学と、真贋の基礎。品物の名前より、見る順番を知る |
| 店に | 先輩と一緒に、接客と査定を覚える。迷ったら先輩に聞く |
| 続ける | 本物にたくさん触れる。比較と観察を重ねる |
出どころ:目利き一郎が働いていた会社でのやり方。会社によって研修の形は違います。
私のいた会社には、動画のマニュアルが10本以上ありました。
動画があると、「言った、言わない」がなくなり、教わる側も、教える側になった時も、いつでも見返せます。
もう一つ、お客様への敬意が土台になります。
宅配買取で品物を送るのは、お客様にとって面倒で、不安なことです。
見えない所へ送るので、本当に届くのか、その会社があるのかも分かりません。
不安なまま信頼して送ってくれた箱だと思って、丁寧に扱います。
5やさしくない所も、先に知っておく
やさしい仕事ではありません。
良い所と弱い所を、並べておきます。
| 場面 | 良い | 弱い |
|---|---|---|
| 査定 | 見る力がつくと、品物を見た瞬間に値段の見当がつく | ブランド品や時計は単価が高く、見間違えた時の痛手が大きい |
| 接客 | 聞き上手になるほど、リピーターが増える | 買えない品は断る。お客様と向き合う場面は避けられない |
| 品物 | 同じ物がなく、毎日違う品に出会う | 偽物は年々、精巧になる。見る所を学び続ける必要がある |
| 出張買取 | お客様の家で、その場で話せる | 清潔感が第一。靴も靴下も指先も見られる。クーリング・オフ(出張買取は、契約書面を受け取った日から8日間)の説明は、法律どおりに行う(特定商取引法) |
出どころ:目利き一郎が現場で見てきたこと。クーリング・オフの説明は、特定商取引法の決まりです。
買えない品を断る時は、「偽物です」とは言いません。
本物かどうかを決める立場に、買取店はないからです。
「当社の査定基準では基準外でした」と伝えます。
私は長く買取店に関わってきましたが、「基準外です」と言って揉めたことは、一度もありません。
6鑑定士の資格は、要るのか
買取店で品物を見る人を「鑑定士」と呼ぶことがありますが、ブランド品や時計を見る人のための、国が定めた資格はありません(不動産鑑定士のように、別の分野には国家資格の「鑑定士」もあります)。
資格がなくても、買取店で働き始めることはできます。
私のいた会社では、取れる資格は取ってもらい、費用は会社が出していました。
リユースの営業の資格や、遺品整理の資格がその例です。
資格を持っていると、お客様は「プロだな」と感じて安心してくれます。
ただ、本当の安心は、学んだ知識で、買取以外の相談にも乗れることから生まれます。
買取店で働く間は、許可を持つ店の社員やスタッフとして働くので、自分で許可を取る必要はありません。自分の店を持つ道を考えている方は、そのときに古物商の許可(営業所のある都道府県の公安委員会の許可)という別の手続きが要ります。
店を開く側買取店の開業の始め方|古物商許可の取り方・資金・4つの形7よくある質問
買取店のバイトは、未経験でもできますか?
できる店が多いです。
接客や受付、電話の対応、品物の整理から始め、査定は少しずつ任される店もあります。
店によって仕事の範囲は違うので、募集の仕事内容を読んで確かめます。
鑑定士になるには、資格が要りますか?
ブランド品や時計を見る「鑑定士」に、国の資格はありません。
買取店に入り、現場で品物に触れて、目利きを身につけるのが一般的です。
資格を取るなら、会社が費用を出してくれるかどうかも、確かめておくとよいです。
買取店の仕事は、きついですか?
店と会社で大きく違います。
お客様の多い店は、ずっと接客が続きます。
高額品の見間違いの怖さや、買えない品を断る場面もあります。
一方で、毎日違う品に出会える面白さがあります。
どんな人が向いていますか?
聞き上手な人です。
話し上手でなくても、お客様の話をきちんと聞ける人は、リピーターがつき、力を伸ばします。
販売や営業の経験も、お客様を見る目として生きます。
目利きは、どのくらいで身につきますか?
人によって違います。
才能ではなく、本物を何度も触って比べた積み重ねの結果です。
入社から6か月で店長になった人もいましたが、時間をかけて伸びた人もいます。