買取店の真贋と売り先は、買う範囲を絞り、迷った品は2人目の目に回し、売り先を商材で分けると、損が連鎖しにくくなります。
このページは、1〜3人で買取店やリサイクル店を回している方に向けた、真贋と売り先の地図です。
店頭と出張買取で私が見てきたことを元にした、私の見方です。
商材ごとの細かい見方は、それぞれの記事に分けています。
このページでは、どの場面で何をするか、どこへ売るかの全体を先に決めます。
1買取店の損は、真贋から連鎖する
開業した方のつまずきを見ていると、多くは真贋から始まります。
1つの不安が、次の段の損を呼びます。
- 真贋に自信がない迷う品ほど、怖くて値段を低く言ってしまう。
- 買取価格が安くなるお客様は、ほかの店と比べて帰る。
- キャンセルが出るお客様の名簿がたまらず、2回目の来店も増えない。
- 数字が伸びず赤字になる手元の資金が減っていく。
- 次の広告が打てない集客が止まり、また品が集まらない。
逆向きの損もあります。
ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)・シャネル(CHANEL)・エルメス(HERMÈS)・ロレックス(ROLEX)は単価が高いので、間違えて買った時の痛手が大きくなります。
スタッフの査定の間違いで一番大きいのは、基準外の品を買ってしまうことです。
しかも定番の品は買取価格がだいたい決まっていて、利幅は取りにくい。
高額品ほど損は大きく、その割に利益は小さい、というのが店の側の実感です。
金は相場が上がり、1gあたりの値段が高くなりました。
1回の見落としで失う額が、以前より大きくなっています。
2「基準内・基準外」で伝える理由
買取店は、ブランドそのものではありません。
だから、本物か偽物かまでは言えません。
店が出せるのは、自店の決めた査定基準の範囲での判断です。
私たちはそれを、「基準内」「基準外」とお客様に伝えてきました。
長く買取店を運営してきて、「当社の基準外です」と伝えて揉めたことは、私は一度もありません。
本物かどうかを決めつけず、店の基準の話として伝えるので、お客様を責める形にならないからだと思っています。
理由が真贋なのか、傷みや付属品の不足なのかを分けて話すと、受け止めてもらいやすくなります。
| 言い方 | お客様に |
|---|---|
| 「これは | 持ち主を疑う言葉に聞こえる。店が断定できる立場にもない |
| 「当社の | 店の基準の話になる。ほかの店の判断は違うこともある、という余地が残る |
3店頭で迷う5つの場面と動き
迷った時の動きは、断る・預かる・2人目に聞くの3つしかありません。
どの場面でどれを選ぶかを、先に決めておくと、その場で慌てません。
| 場面 | な | 動き |
|---|---|---|
| ① 新しい | 古い品は見慣れていても、最新の作りは精度が上がっている | 2人目に聞く。迷いが残れば預かる |
| ② 高額品 | 間違えた時の痛手が大きい。怖さで値段が下がる | 店内の2人目か、専門業者に写真で聞く |
| ③ 金・地金 | 中に別の金属を入れて重さを合わせた持ち込みがある。インゴットの中までは、店の道具では見られないことがある | 表面・試金石・刻印で迷えば、預かるか断る |
| ④ 専門外の | 見る所も売り先も分からない | 断る前に、その商材に強い専門業者に聞く |
| ⑤ 業者が | 遺品整理や回収の現場で出た品を、お客様として持ち込む | 1点ずつ同じ基準で見る。迷う品だけ預かる |
出どころ:目利き一郎の整理。動きは店によって違います。
新しい作りの品は、精度が上がっている
ヴィトンなどは、古い物ならすぐ分かります。
ただ、最新のコピー品は精度が上がりました。
昔はそこまで手間をかけずに作られていましたが、今は相場が上がったぶん、作る側もお金をかけています。
私が見るのは、ロゴ・刻印・縫製・素材・匂いで、それを合わせて判断します。
金具は、怪しい所があればそれだけで基準外にします。
どのブランドが難しいかは、人によって違います。
エルメスが難しいと言うスタッフもいれば、ヴィトンが難しいと言うスタッフもいました。
金・地金は慣れた商材。ただ中を見る機械が店にないことが多い
金・地金は、金の品を触っていれば分かる方で、貴金属を扱う店としては楽な商材です。
ただ最近は、金の代わりに、タンタルなどの別の金属を中に入れた品の持ち込みが増えてきました。
私が見るのは、表面・試金石・刻印です。
インゴットの中まで確かめるには、X線などの専用の機械が要ります。
その機械は高価で、どの店にもあるわけではありません。
ここが、少人数の店にとって一番の問題だと思っています。
ブランドバッグほど数は多くありませんが、1gの値段が高いので、1回の見落としの損が大きくなります。
専門外の品は、断るだけでは機会の損
以前は、専門外の品が来たら断ることが多くありました。
高額品なら預かっても、預かる手間に見合わなければ、結局は断っていました。
今は買取店の競争が激しくなり、断るだけではお客様を逃します。
何でも扱える業者は伸びている印象がありますし、1つの商材に絞った専門業者も伸びています。
どちらへ行くかは、店の考え方で決めることです。
迷った品の預かり方は、預かり書を書いてもらい、連絡の方法と何日以内かをその場で話す形を、私たちは取ってきました。
遺品整理や回収の業者は、お客様に混じって来る
遺品整理や不用品回収の業者から、業者として相談を受けることは、私の店ではほとんどありませんでした。
そのかわり、お客様に混じって、お客様として品を持って来られる方がいます。
「この品は本物か、いくらぐらいになるか」と聞かれます。
その方たちは売り先を選ぶ時間がなく、近くの買取店に持ち込んでいる、というのが私の見方です。
店としては、一般のお客様と同じ基準で、1点ずつ見ます。
42人目の目を持つ3つの形
1人の目と1回の判断では、思い込みで見落とします。
迷った品を、誰が2人目として見るかを決めておきます。
| 比べる点 | 店内の | 預かって | 写真で |
|---|---|---|---|
| 2人目は | 店の別のスタッフ | 時間を置いた自分か、あとで聞く相手 | その商材に強い専門業者 |
| 返る | 店の中の判断 | 判断を後ろにずらせる | 基準内・基準外の見立てと根拠。値段が届く形もある |
| 売り先 | 店が探す | 店が探す | 値段をつけた専門業者に、そのまま卸せる形もある |
| 弱い | 1人の店ではできない | お客様を待たせる。連絡の約束が要る | 見立ては意見で、保証ではない |
写真で見立てを聞く形の1つに、査定お任せくんがあります(当サイトの運営者が関わるサービスです)。
公開ページには、専門業者の営業時間内なら受けるまで15分・値段まで15分が目安、見積もりは先着5社か最初の見積もりから30分で締め切る、と書かれています。
使えるのは古物商の許可を持つ事業者で、料金は公式に記載されています。
判定だけを返すサービスもあり、どの形が合うかは、店が値段と売り先のどちらに困っているかで変わります。
出どころ:査定お任せくん(satei-omakase.com)の公開ページ(2026年10月31日に確認した表示)。
仕組みの作り方買取店の真贋判定|基準外の品をつかまない二重チェックの仕組み5見分けの基礎は、商材ごとの記事で
私が入った頃は、ヴィトンのバッグの名前や、モノグラム・ダミエ・エピといったシリーズの名前から覚えました。
ロレックスの型番も、末尾の番号で素材まで分かることを、1つずつ覚えました。
今は、そこまで覚えなくても、スマホで撮れば型番や品名が出てきます。
変わらないのは、本物をたくさん触ることです。
本物を何度も触っていると、基準外の品を持った時に、手が自然と弾きます。
「なんか軽い」「金具の音が違う」という違和感です。
才能ではなく、比べた回数の結果だと私は思っています。
あとはルーペで、金具・ロゴ・縫製・匂いを見ます。
見る所の基礎は、品を売る方向けの記事に、商材ごとにまとめています。
店頭でどの順に判断するかは、買取店向けの記事に分けました。
| 商材 | 見る |
|---|---|
| シャネル | シリアルシールと金属プレート |
| ルイ・ヴィトン | 製造番号(デイトコード)とICチップ |
| エルメス | 刻印と製造年 |
| ロレックス | シリアルと型番 |
| 金・プラチナ | 刻印・重さ・手数料 |
6売り先は商材で分ける
買い取った品の売り先は、大きく4つです。
どれにも良い所と弱い所があり、商材によって強い所が違います。
| 比べる点 | 業者オークション | 古物市場(会場) | 専門業者への | ネットでの |
|---|---|---|---|---|
| 形 | ネットの入札が中心。下見ができる大会もある | その場の競り(平場)や、下見してからの入札 | その商材に強い会社が買い取る | 店が自分で一般の人に売る |
| 入る | 古物商許可証の提出。会員の登録 | 古物商許可証と主催者の承認。紹介が要る会場もある | 取引先として話がつけば | 販売の場所の登録 |
| お金の | 月会費・出品手数料など。会場ごとに違う | 参加費・歩銭(手数料)が多い。入会費・年会費・下見費は会場による | 即金の所が多い。減額の条件は先に確かめる | 売れるまで現金にならない |
| 在庫 | 開催日まで持つ | 開催日まで持つ | すぐ手放せる | 売れるまで持つ |
| 向く | ブランド品・時計・宝石など、会場ごとに強い商材がある | 道具・骨董・ブランドなど、会場で分かれる | カメラ・PC・スマホなど、1つに絞った商材 | 店が詳しい1つの商材 |
出どころ:リユース経済新聞「古物市場とは?初心者向けに参加方法を解説(2025年版)」(2024年12月4日掲載・https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5670.php・2026年10月31日に確認)。古物市場で売り買いできるのは古物商どうしだけです(古物営業法 第14条第3項・e-Gov法令検索・2026年10月31日に確認)。業者オークションも、元の記事では古物市場の形の1つ(オンライン型)です。専門業者とネットの列、業者オークションの「形」は、目利き一郎の整理です。
業者オークションの費用の例として、STAR BUYERS AUCTION の公式サイトには、完全オンライン、入会費無料、月会費11,000円(税込)、出品手数料1商品1,100円(税込)、落札されなかった時550円(税込)と書かれています。
会場ごとに費用の形は違うので、入る前に公式で確かめます。
出どころ:STAR BUYERS AUCTION 公式サイト(https://biz.starbuyers-global-auction.com/・2026年10月31日に確認)。
1年目は、買うことと売ることを分ける
買取の集客と、販売の集客は、まったく別の仕事です。
1人で何でもやる時期は、どちらか1つに絞った方が回ります。
1年目は業者オークションや古物市場に出して、買うことに力を使う形が始めやすいと私は思います。
ネットで売ると利益は取りやすい一方、在庫と資金の回りが遅くなります。
ばらばらの商材をネットで売るのは、なおさら難しくなります。
初めて古物市場に行った時は、品が流れる速さに驚きました。
平場では後ろの席だと、品を見てから値段を出すまでに時間の差が出ます。
最初の市場は空気が独特で、古くからの方もいて、重たかったのを覚えています。
専門業者に出す時は、悪い所を先に出す
専門業者に出して助かったのは、返事が速いことと、言われた値段が守られることでした。
ただし、大きな傷みがあれば減額になります。
悪い所を隠して出すと減額になり、お互いに遅くなります。
だから店の側も、傷や欠けを先に正直に伝えます。
売り先の側も、仕入れが厳しくなっていると私は感じています。
古物商の許可の数は、令和2年末の39万5,526件から、令和7年末の61万4,118件へ、5年続けて増えました。
古物商の許可を持つ事業者が増え、仕入れの取り合いが強くなったと私は見ています。
1つの商材に絞った専門業者も、買取店からの新しい仕入れ先を探しています。
出どころ:警察庁「令和7年中における古物営業・質屋営業の概況」表1(https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/R7kobutsushichiyagaikyo.pdf・2026年10月31日に確認)。令和2年4月1日施行の法改正で許可の数え方が変わったため、令和元年以前の数字とは比べられません。
売り先の側業者オークション・古物市場と専門業者の仕入れ先|買取店から直接仕入れる形まで7店の規模で選ぶ、真贋と売り先の持ち方
同じやり方が、どの店にも合うわけではありません。
人数で、2人目の目と売り先の持ち方が変わります。
| 店の人数 | 真贋 | 売り先 |
|---|---|---|
| 1人の | 預かって時間を置くか、写真で専門業者に聞く | 業者オークションか古物市場を1つ。迷う商材は専門業者へ |
| 2〜3人の | 高額品と初めて見る品は、別のスタッフが確かめてから値段を出す | 商材ごとに強い所へ分ける |
| これから | 買う範囲を絞り、見分けを先に身につける | 買う前に売り先を決めておく |
出どころ:目利き一郎の整理。店の人数の分け方は考え方の一例です。
見分けと売り先を外に持つ3つの道
| 道 | 得られる | 弱い |
|---|---|---|
| 見分けの | 実物に触れて見る順番を学べる。品目ごとに1日で受けられる研修もある | 売り先は自分で作る |
| フランチャイズに | 本部の査定がある所では、真贋を代わりに見てもらえる。看板の力と運営の支え | うまくいかなくなった時、契約期間・テリトリー・競業避止の決まりが重くなることがある |
| 写真で | 迷った品だけ聞ける。値段をつけた専門業者に卸せる形もある | 見立ては意見で保証ではない。古物商の許可が要るサービスもある |
どれか1つが正解ということはありません。
自分で調べて身につけるのも、時間を投資していることになります。
時間とお金のどちらを使うか、店の今の困りごとで選んでください。
8よくある質問
盗品かもしれない品を持ち込まれたら、どうしますか?
古物商は、不正品の疑いがあると認める時は、直ちに警察官に申告する決まりです(古物営業法 第15条第3項)。
基準外かどうかの判断とは別の話なので、迷う時は管轄の警察署に聞きます。
「基準外です」と言うと、お客様は怒りませんか?
私は長く買取店を運営してきて、「当社の基準外です」と伝えて揉めたことは一度もありません。
決めつけずに店の基準の話として伝え、理由が真贋か状態かを分けて話すと、受け止めてもらいやすくなります。
買取店に、鑑定士の資格は要りますか?
ブランド品の真贋を見る国家資格はなく、あるのは民間の資格です。
買取店に要るのは、古物商の許可です。
民間の資格は、あってもなくても同じだと私は思いますが、お客様は安心されます。
古物商どうしの取引でも、相手の確認は要りますか?
古物営業法の確認の決まりは、相手が古物商かどうかで分けていません。
確認が要らないのは、対価の総額が1万円未満の取引(古物営業法施行規則 第16条。バイク・原付と部品、エアコンの室外機など、家庭用ゲームソフト、CD・DVDなど、電線、金属のグレーチング、書籍は除く)と、自分が売った品をその相手から買い戻す場合です(第15条第2項)。
古物市場での取引は、市場主も帳簿に記録します(第17条)。
売り先は、どこから始めればいいですか?
1年目は、業者オークションか古物市場から始めるのが、私は回しやすいと思います。
買うことと売ることは別の仕事なので、少人数のうちは買うことに力を使います。
慣れてきたら、商材ごとに強い専門業者へ分けていきます。