「親が施設に入って、実家の片づけが始まった」
「亡くなった親の家に、物が山ほど残っている」
この記事は、そんな50〜60代の方が、何から手をつけるかを決められるように書いています。
片づけの順番、捨てる前に確かめる物、売れる物の見分け方、業者の選び方、怪しい訪問買取への備えを、順に説明します。
法律の話は、条文と国の案内で確かめた内容だけを書いています。
1実家じまいの片づけの順番
いきなり捨て始めると、あとで取り返しがつかなくなります。
次の順に進めると、迷いが減ります。
- 期限と家の状況を確かめる賃貸なら退去の期限、持ち家なら売却や解体の予定。期限があれば、業者への相談を早めに始めます。
- 家族で先に話すきょうだいや親族に、片づけを始めることを伝えます。形見にしたい物を聞いてから、仕分けに入ります。
- 大事な書類と貴重品を先に探す遺言書・通帳・印鑑・保険の書類・不動産の書類など。探している途中で、引き出しや仏壇の中を捨てないように。
- 相続のことを確かめる親が亡くなっている場合は、物を処分する前に、相続の手続きの方針を決めます。次の章で説明します。
- 残す・売る・処分の3つに分ける迷う物は「保留」の箱へ。最初から全部を決めようとしないのがコツです。
- 売る物を査定に出す金・ブランド品・時計・着物など、値段がつく物を、捨てる前に見てもらいます。
- 残りを処分する自治体の粗大ごみ、業者への依頼など。家電は回収の決まりが別にあります。
親が施設にいても、家の中の物は親の持ち物です。
親の気持ちを聞かずに処分すると、あとで関係がこじれることがあります。
まず本人に、残したい物と手放してよい物を聞いてください。
片づけは、思っているより時間と体力を使います。
遠方に住んでいる場合は、業者や不動産会社とのやり取りを電話やオンラインで進め、作業の日だけ帰省する進め方もあります。
2捨てる前に確かめる物
片づけの途中で出てくる、捨ててはいけない物です。
見つけたら、保留の箱に入れてください。
| 見つけた物 | どうするか |
|---|---|
| 封のしてある遺言書 | 勝手に開けない。家庭裁判所で、相続人の立ち会いのもとで開封します(民法第1004条) |
| 通帳・印鑑・保険や年金の書類 | 捨てずにまとめて保管。手続きに必要になります |
| 不動産や契約の書類 | 家の売却や名義の手続きで使います。まとめて保管 |
| 現金・商品券 | 引き出し・衣類のポケット・本の間も確かめる。見つけた分は記録を残して家族と共有 |
| 仏壇・神棚 | 処分の前に、菩提寺や神社に作法を聞く |
| 写真・手紙 | 量が多ければ、まず箱にまとめて保留。家族で見てから決める |
| パソコン・スマホ・古い携帯 | 個人情報が入っている。そのままごみに出さない |
民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認をしたとみなす、と定めています(第921条)。
相続を放棄するかどうかを決める前に、売ったり捨てたりすると、放棄できなくなるおそれがあります。
放棄や限定承認ができる期間は、相続の開始を知った時から3か月以内です(第915条)。
迷う時は、弁護士や司法書士に先に相談してください。
3売れる物の見分け方
実家から出てくる物のうち、値段がつきやすいのは、金・貴金属とブランド品です。
ほかにデジタルカメラも値段がつきやすい物です。
一方、昔は高かった物でも、今は値段がつきにくい物があります。
| 品物 | 見る所・一緒に探す物 | 注意 |
|---|---|---|
| 金・プラチナの指輪・ネックレス | 内側の刻印(K18・Pt900など)。片方だけのピアス、切れたチェーン | 壊れていても値段がつくことがある。磨かず、そのまま |
| ブランド品(バッグ・財布) | ヴィトン・シャネル・エルメス・バーバリーなど。箱・保存袋・カード・レシート | 百貨店のブランドは、買った時は高くても、二次流通では安くなりやすい |
| 腕時計 | 箱・保証書・ベルトの余りコマ | 動かなくても値段がつくことがある。電池を入れ替えたりしない |
| 着物・帯 | たとう紙、産地や作家の名が分かる紙、仕立ての書類 | 量が多くても、値段がつくかは1枚ずつ店が見て決める |
| 切手・古銭・記念硬貨 | シートのまま、ケース、台紙、証明書 | 種類で扱いが違う。ばらさず、そのまま査定へ |
| カメラ・レンズ | 本体と付属品、箱、説明書 | デジタルカメラは値段がつきやすい |
| 骨董・掛け軸・茶器 | 木箱、作者の名が分かる箱書き | 木箱入りでも、意外と値段がつかないことがある。作者によって大きく違う |
| 毛皮・洋服 | ブランドのタグ、状態 | 毛皮は昔の購入額より大きく下がっている。洋服は流行で数年で値段が落ちる |
表は、買取店の現場で見てきた傾向です。
実際の値段は、品物の状態と、査定する日の相場で決まります。
買取店は、品物を「本物」「偽物」と言い切りません。
その店の査定基準で「基準内」か「基準外」かで答えます。
親が大事にしていた品が基準外だった時も、家族の思い出の価値は変わりません。
捨てる前に、いくつかの店に見せて比べると安心です。
箱や付属品、鑑定書がそろっていると、査定の材料が増えます。
全部をひとつの箱にまとめて、保管しておいてください。
4遺品整理・不用品回収・買取の違い
実家じまいで頼む相手は、3種類あります。
名前が似ていますが、できることと、確かめる許可が違います。
| 種類 | やること | 確かめる許可・資格 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 遺品整理業者 | 仕分け・搬出・処分・清掃までまとめて | 家庭の物を運ぶなら、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可(または許可業者との提携)。遺品整理士は民間の資格で、法律で義務づけられた物ではない | 家全体の片づけ。仕分けから任せたい |
| 不用品回収業者 | 処分が決まった物を運び出す | 同上。無許可の業者に注意 | 仕分けは自分で済ませ、運ぶだけ頼みたい |
| 買取業者 | 値段がつく物を買い取る | 古物商の許可(公安委員会) | 金・ブランド品・時計・着物などを売りたい |
環境省は、家庭の廃棄物の回収は、市区町村の許可を得た事業者か、市区町村の委託を受けた事業者に限られると案内しています。
産業廃棄物の許可や古物商の許可では、家庭のごみは回収できません。
軽トラックで巡回する業者や、チラシだけの業者に頼む前に、許可番号を確かめてください。
家電リサイクル法の対象は、テレビ・エアコン・冷蔵庫と冷凍庫・洗濯機と衣類乾燥機の4品目です。
引き取りには、リサイクル料金と収集運搬料金がかかります。
見積もりに入っているか、先に確かめます。
業者に頼まずに手放す方法
| 方法 | よい点 | 手間 |
|---|---|---|
| 自治体の粗大ごみ回収 | 費用が比較的安い | 指定の場所まで自分で運ぶ。回収日が決まっている |
| 買取店・リサイクルショップ | 査定後すぐに現金になる | 店まで運ぶ。値段がつかない物もある |
| フリマアプリ | 状態のよい物が、思ったより高く売れることがある | 撮影・説明文・梱包・発送ややり取りが必要 |
親の家の物は、量が多いのが普通です。
全部を自分で売るのは、現実的ではありません。
値段のつく物だけを買取に出し、残りを回収に任せる、という分け方が多くなります。
5業者の選び方と見積もりの見方
業者の一覧を見て選ぶより、先に確かめる点を決めておくほうが、失敗が減ります。
次の6つを、見積もりの時に確かめてください。
- 許可を確かめるホームページや契約書に許可番号があるか。無ければ、許可を持つ業者と提携しているか。分からなければ市区町村の窓口に問い合わせる。
- 出張見積もりを頼む現物と、搬出の経路を見てもらう。当日に条件を変えないのが、追加の費用を防ぐ近道。
- 追加費用が出る場合を聞く見積もりに無い物が出た時、階段からの搬出や解体が要る時、家電リサイクル品がある時、作業が長引いた時。
- 見積もり・キャンセルの費用を聞く見積もりが無料か。見積もりのあとや、当日の日程変更に費用がかかるか。
- 書面で残す見積書と契約書の控えを、手元に保管。追加費用が出ない旨が書かれているかも見る。
- 複数社で比べる回収できる品目、対応エリア、作業人数と時間、料金のかたちを並べて比べる。口コミは、ひとつのサイトでなく複数を合わせて見る。
基本的には立ち会わなくても作業は進みますが、貴重品や個人情報が出てくる可能性がある実家では、立ち会うことをすすめます。
遠方で行けない時は、貴重品を先に取り出しておきます。
堺市・大阪市をはじめ、地域ごとに許可を持つ業者は違います。
どの業者が許可を持つかは、お住まいの市区町村に問い合わせると確かめられます。
urupoでは、特定の業者の順位や一覧は載せていません。
大阪・兵庫・滋賀の実家の片づけで迷ったら
業者探しと見積もりの比較を、窓口ひとつで
遺品整理相談センター
- 相談は無料
- 業者の選定は窓口が行う
- 見積もりを見てから断れる
運営は、買取店を営む会社です。
値段がつく品は買い取り、片づけの費用から引けます。
片づけの作業は、提携の業者が行います。
当サイト運営者が案内する窓口です(広告)
6訪問買取のトラブルと8日間のクーリング・オフ
実家の片づけが始まると、「不用品を買い取ります」という電話や訪問が来ることがあります。
国民生活センターの発表では、訪問購入の相談は2022年度に7,722件ありました。
契約した人の8割近くが60歳以上です。
典型的な形は、服や食器の買取を了承したら、来た人に貴金属を強く求められる、というものです。
売るつもりのなかった指輪を、安く持っていかれてしまいます。
特定商取引法で決まっていること
自宅などの店以外の場所で物を買い取ることを、特定商取引法は「訪問購入」と呼び、ルールを定めています。
| 場面 | 買取業者に決められていること | 条文 |
|---|---|---|
| 訪問の最初 | 勧誘の前に、会社の名前・買い取りを勧める目的・物の種類を告げる | 第58条の5 |
| 勧誘 | 頼んでいない人への勧誘は禁止。「買い取りの話を聞くか」と尋ねることも禁止。断った人への再度の勧誘も禁止 | 第58条の6 |
| 契約 | 物の種類・価格・支払いの時期と方法・引き渡しの時期・クーリング・オフなどを書いた書面を、すぐ渡す | 第58条の7・8 |
| 品物を受け取る時 | 品物の引き渡しを断れることを告げる | 第58条の9 |
クーリング・オフは書面を受け取った日から8日間
契約を取り消せる期間は、法律の文で、書面を受け取った日から数えて8日です(第58条の14)。
- 取り消しは、書面か電子メールなどの記録で通知します。通知を出した時に効力が生まれます
- 取り消すと、買取業者は損害賠償や違約金を請求できません
- すでに代金を受け取っていた場合、その返金にかかる費用と利息は、買取業者の負担です
- 期間内は、引き渡しの日が決まっていても、品物を渡さなくてよい(第58条の15)
- 業者がうそを言ったり、おどして期間内に取り消せなかった場合は、期間の数え方が変わる決まりがあります
次の場合は、8日間の決まりが当てはまりません。
自分から、自宅で売りたいと頼んで来てもらった場合(第58条の17)。
買取店に自分で持ち込んで売る場合(店は「訪問購入」の対象の場所ではないため)。
売るのが自動車、携行しにくい家電、家具、書籍、有価証券、レコードなどの記録物の場合(施行令第34条)。
当てはまるか迷った時は、消費者ホットライン「188」に電話してください。
被害を防ぐ5つの行動
- 突然の訪問は家に入れない電話で「訪問してよいか」と聞かれても、すぐに了承しない。
- 名前と買い取る物を先に確かめる会社の名前、買い取る物の種類を、訪問の前に聞く。
- 売る約束のない物は、はっきり断る貴金属を求められても、売らない。
- 書類をよく読むその場で急いで署名しない。控えももらう。
- 不安になったら188期間内は品物を渡さなくてよい。家族にも早めに話す。
親が一人で暮らしている間に、すでに被害に遭っていることもあります。
実家に帰った時、家に来客や買い取りの書類が残っていないか、確かめてください。
7よくある質問
実家じまいは、何から始めればいいですか?
最初は片づけではなく、期限の確認と、家族への相談です。
次に遺言書・通帳・保険の書類などの大事な物を先に探し、そのあとで、残す・売る・処分の3つに分けます。
捨てていい物と、売れる物はどう区別しますか?
自分で決めず、迷う物は保留の箱に入れて、査定に出します。
金・ブランド品・時計・着物・切手・古銭は、捨てる前に見てもらいます。
箱や付属品も一緒にとっておきます。
相続放棄を考えているとき、片づけてもいいですか?
物を売ったり捨てたりすると、相続を認めたとみなされるおそれがあります(民法第921条)。
放棄を決める前は処分を待ち、弁護士や司法書士に先に相談してください。
遺品整理業者と不用品回収業者は何が違いますか?
遺品整理業者は、仕分けから搬出、処分までを引き受けます。
不用品回収業者は、処分が決まった物を運び出す仕事です。
どちらも、家庭のごみを運ぶには市区町村の許可が要ります。
訪問買取のクーリング・オフはいつまでできますか?
買取業者から契約の書面を受け取った日から8日間です。
期間内は品物を渡さなくてよい決まりです。
ただし、自分から呼んだ場合などは当てはまらないので、迷う時は消費者ホットライン188に相談してください。
出どころ:e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」「同法施行令」「民法」(2026年10月27日に確認)/環境省「廃棄物の処分に無許可の回収業者を利用しないでください」/国民生活センター「不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!」(2023年9月27日発表)。

