「ごみの山の下から、指輪や現金が出てきました」
清掃、特殊清掃、生前整理の会社なら、一度はある場面です。
見つけた物をどう扱うかで、依頼者との信頼が決まります。
この記事は、清掃・特殊清掃・生前整理の会社が、現場で埋もれた貴金属や現金、形見を見つけた時の動き方を説明します。
書いたのは、買取の現場で長く働いてきた私です。店にいた頃は、遺品整理の方が、お客さんに混じって品物を持ち込み、「この商品は本物か」「いくらぐらいになるか」と聞いてくることがありました。
1出てきた物は誰の物か
片付けの途中で、通帳や現金はよく出てきます。
私は、見つけたら依頼者にしっかり伝えるようにしていました。驚かれることがとても多いです。
出てきた物は、依頼者の物です。
亡くなった方の家なら、相続人が数人いる場合、相続財産は共有になります(民法第898条)。見つけた会社が預かったり、分けたりしないのが前提です。
遺失物法は、道端などで拾った「占有を離れた物」の手続きを定めた法律です(第1条)。
依頼者の家の中で見つかった現金は、持ち主が分かっている財産なので、まず依頼者か相続人に渡す話だと私は整理しています。持ち主が分からず、連絡もつかない時は、警察署や弁護士に相談します。
出典:民法 第898条/遺失物法 第1条(いずれもe-Gov法令検索・2026年11月4日に確認)。遺失物法の当てはめは筆者(佐野真)の整理で、法令や行政の公式の見解ではありません。個別の判断は、弁護士や警察署に確かめてください。
| 出てきた物 | その | 買取に |
|---|---|---|
| 現金、 | 動かさず、場所と日時を写真に残して、依頼者に伝える。立ち会いの上で渡す | 買取の対象ではない |
| 貴金属、 | 写真を撮って依頼者に見せる。売る話は、依頼者から出た時に進める | 依頼者が望めば。買い取るなら古物商の許可が要る |
| 写真、 | 形見として、売る話をしない。捨てる前に家族に確認する | 回さない |
| 仏壇、 | 供養を提案する | 人形は買い取りができず、処分になる |
| ブランドの | 写真を撮って依頼者に見せる | 値段がつく物がある。毛皮は、買った時の10分の1、20分の1もつかないと見ておく |
出典:佐野真が買取の現場で見てきた内容の整理(2026年11月4日時点)。品物と状態で変わります。
2現場の順番|取り分けが先、買取はその後
空き家内の残置物の整理について、日本司法書士会連合会は、次の順番を示しています。
- 現金、証書類、写真・アルバム、手紙を選ぶ先に取り分けて、依頼者に返します。
- 換価できる物と、できない物に分ける着物、カメラ、貴金属、時計、家電、美術品、古書、ピアノ、家具などが例に挙がっています。
- 処分、撤去する許可を持つ業者に任せます。
出典:日本司法書士会連合会「空き家内の残置物のリユースに関する司法書士の取組み」(環境省 リユース促進に向けた懇談会 第2回・令和7年3月14日・2026年11月4日に確認)。
私がいた会社では、片付けだけなら3LDKでも4LDKでも、朝から夕方まで3人ほどで1日で終わりました。
それでも、買取の品をきちんと見つけるために、仕分けにもう1日かけました。買取の品を探す日が先、片付けがその後です。
ごみの量が多い現場ほど、探す作業は長くなります。見積もりの時に、その日数を伝えておきます。
3家族の話がまとまらない時と、生前整理
形見の扱いは、家族の中で意見が分かれます。
親世代は、物があふれていない時代に育ったので、物をためます。子ども世代は、物があふれた時代に育ったので、ためません。
子どもは「そんなにためても使わないのだから、捨てよう」と言い、親は「まだ使うかもしれない」と言います。ここで口論が起きます。
親御さんは手放してよいと言っているのに、後から息子さんが入ってきて、話がひっくり返ったこともあります。
私がいた会社では、そうなったら、こちらから交渉はしません。家族の中で決めてもらうのが決まりでした。
生前整理では、同意を取る相手が本人です。
家族が先に依頼してきても、本人の意思を確かめてから、売る物と残す物を決めます。
仏壇や人形のように捨てにくい物は、供養をこちらから提案します。
人形は買い取りができず、処分になります。人形や着物を「高価買取」とうたう呼びかけは、家に上がるきっかけになっている場合もあるので、頼む側は、よく調べてから頼むのがよい、と私は考えています。
4許可とルール|掃除の依頼と買取の依頼は別
| やること | 必要な |
|---|---|
| 依頼者から | 古物商の許可。相手の住所・氏名・職業・年齢の確認と、帳簿の記載が要る(古物営業法 第3条・第15条・第16条) |
| 疑わしい | 不正品の疑いがあれば、直ちに警察官に申告する(第15条第3項) |
| 依頼者の | 特定商取引法の訪問購入。頼まれていない勧誘は禁止。査定の依頼を超えた勧誘も法に抵触する。書面の交付と8日のクーリング・オフ |
| 家庭の | 市町村の一般廃棄物処理業の許可、または市町村の委託。古物商や産業廃棄物の許可では足りない(環境省) |
出典:古物営業法(e-Gov法令検索)/消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問購入/環境省 リーフレット「解体工事等を発注する建築物の所有者等・建設工事元請等のみなさまへ」平成30年6月(いずれも2026年11月4日に確認)。
清掃の会社が依頼を受けて家に入るのは、掃除や片付けの依頼です。
買取の依頼ではありません。買取の話は、依頼者から頼まれた時に進めます。こちらから「貴金属はありませんか」と切り出すと、訪問購入のルールに触れるおそれがあります。
作業代と買取額は、別の紙で見せる
作業の見積書と、買取の明細は、別の紙に分けます。
差し引きの金額は、最後に1行で出します。
差し引く形が買い取りにあたるかどうかは、警察庁の通達に直接の記載がありません。迷う時は、営業所を管轄する警察署の生活安全課に、書面を見せて聞きます。
5買い取った物の売り先と、使い始める順番
依頼者が売ると決めた物は、写真で専門業者に値段を聞く方法があります。
査定お任せくん(当サイトの運営者が関わるサービス)は、写真を送ると、専門業者の査定基準での値段が、基準内か基準外かの見立てと根拠つきで届きます。
売るボタンを押した時だけ売ることになり、値段を見るだけでも使えます。使えるのは、古物商の許可を持つ事業者です。専門業者の営業時間内なら、受けるまで15分、値段まで15分が目安とされています。
出典:査定お任せくんの公開ページ satei-omakase.com(2026年11月4日に確認した表示)。見立ては専門業者の意見で、公式の鑑定や保証ではありません。
許可がない会社の順番と、1年の費用
古物商の許可がない会社は、次の順番で進めます。
- 古物商の許可を取る営業所のある都道府県の公安委員会に申請します。流れは古物商許可の取り方に書きました。
- 許可が取れたら、お任せくんに登録する登録には、古物商の許可番号と営業所の住所が要ります。
お任せくんの費用は、月額6,980円(税別)の12か月分で、約8.4万円です。依頼者の側に、成約の手数料はかかりません。振込は1回380円(税別)です。
この金額はベータ版の価格で、先着30店・2027年6月30日までの申込が対象です。見直す時は30日前に知らせ、合わなければ解約できます。
目利きを自分で身につけたい場合は、研修で学ぶ方法もあります。入口は買取を仕事にする人の入口にまとめています。
売り先の比較は買取店の売り先の比較に書きました。
同じ区画には、遺品整理の会社や解体の会社の記事もあります。全体は業種ごとの買取の始め方から読めます。
6よくある質問
ゴミ屋敷の片付けで出てきた貴金属や現金は、誰の物ですか?
依頼者の物です。
亡くなった方の家なら、相続財産として相続人の共有になります(民法第898条)。
見つけた会社が預かったり、分けたりせず、写真に残して依頼者に伝え、立ち会いの上で渡します。
清掃の会社が、出てきた貴金属を買い取るのに許可は要りますか?
買い取って売るなら古物商の許可が要ります(古物営業法第3条)。
依頼者の家で買い取る取引は特定商取引法の訪問購入にあたり、掃除の依頼を受けて入った会社が、頼まれていない買取を勧誘することはできません。
遺失物法の届け出は、現場で見つけた現金に要りますか?
遺失物法は、占有を離れた物の拾得の手続きを定めた法律です(第1条)。
依頼者の家の中で見つかった現金は、持ち主が分かっている財産なので、まず依頼者か相続人に渡す話だと筆者は整理しています。
これは法令の公式の見解ではありません。持ち主が分からず連絡もつかない時は、警察署や弁護士に相談します。
写真や手紙、仏壇などの形見は、どう扱えばよいですか?
売る話をせず、捨てる前に家族に確認します。
仏壇や人形のように捨てにくい物は、供養を提案する形にします。
人形は買い取りができず、処分になります。
生前整理の依頼では、誰の同意を取りますか?
本人です。
家族が先に依頼してきても、本人の意思を確かめてから、売る物と残す物を決めます。
親世代と子世代では物への考え方が違うので、双方の話を聞きます。







