便利屋の開業に、資格は要りません。
ただ、依頼された品物を買い取って売るなら古物商許可が、家庭の不用品を料金をもらって運ぶなら市町村長の一般廃棄物の許可が、それぞれ別に要ります。
この記事は、便利屋を始める人、副業で始めたい人、すでにやっていて買取を足したい人に向けて、許可の分かれ目、「これ引き取れる?」への答え方、小さく始める順番をまとめました。

買取店ではない便利屋が、品物の真贋を断定する必要はありません。
この記事でも、本物か偽物かではなく、「当社の査定基準で基準内か基準外か」と書きます。

業種ごとの地図遺品整理・不用品回収・便利屋などが買取を始めるには⁠|業種ごとの入口と、古物商許可・売り先の持ち方3つの比較

1便利屋に資格は要らない、でも許可が分かれる

便利屋は、掃除、草むしり、家具の組み立て、買い物の代行など、頼まれたことを何でも引き受ける仕事です。
仕事の中身によって、要る許可が変わります。

頼まれること要るものメモ
掃除・修理・草むしり・代行特に決まった許可は無い(作業の中身によっては、別の資格や届出が要る場合がある)開業届は、税務署に出す
品物を買い取って、売る古物商許可古物営業法の面では、お客様の家にうかがって買い取れる(取引相手の住所・居所は認められている)。特定商取引法の訪問購入のルール(8日のクーリング・オフなど)がある
家庭の不用品を、料金をもらって引き取る市町村長の一般廃棄物の許可新規の許可を出さない方針の市町村もあるといわれる(市町村で違う)。許可を持つ会社と提携する方法がある
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の処分家電リサイクル法の決まり認定や許可を受けた者でないと、処分できない

出典:古物営業法 第3条・第14条第1項、廃棄物処理法 第7条第1項(e-Gov法令検索・2026年11月4日に確認)、東京都環境局のリーフレット「不用品回収をしないで!」(2026年11月4日に確認)。新規の取得が難しい、という点は、便利屋の開業を解説する民間の記事の説明で、自治体によって事情が違います。

家庭の不用品を無許可で集めて運ぶと、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方です(廃棄物処理法 第25条第1項第1号)。
古物商の許可では、家庭の不用品は回収できません。(東京都は「古物商の許可は買取りか交換が原則」と案内しています)
便利屋が一番気をつけたいのは、この線引きです。

2「これ引き取れる?」への答え方

便利屋には、作業の途中や電話で、「ついでにこれも引き取れますか?」と聞かれる場面があります。
その場で答えられないと、断るか、安く買い取って損をするか、のどちらかになりがちです。
先に、答えを3つに分けておきます。

答えこういう品お客様への言い方
買い取れる貴金属、ブランド品、カメラ、楽器など、値段がつく品品物を見て、根拠を添えて値段を伝える
値段がつかない古い家具、ほとんどの家電、人形など買取はできないと先に伝え、処分の方法(市町村の収集や、許可を持つ会社)を案内する
迷う骨董、着物、真贋に迷うブランド品、色のついた宝石などその場で値段を言わず、預かり書で預かる。何日以内に連絡するかを伝える

出典:佐野真の現場の経験。値段は品物の状態と時期で変わります。

「高価買取」の看板では、本当に品物を見てくれるかは分かりません。
私も、本を一律の値段で買い取られたことがあります。
良い本もあったのに、商品を見てもらえていないと感じました。
別の業者は、10円の物も300円の物もありました。合計は大きく変わらなくても、品物を見て値段をつけてくれたので、次もそこに出しました。
便利屋が買取を足すなら、品物をきちんと見ているとお客様に伝わることが、続けるうえでの強みになります。

迷った品の預かり方

迷った品は、預かり書を書いてもらって預かります。
預かる前に、なぜ預かるか、連絡の方法、何日以内か、の3つをその場で話します。
預かり書には、お客様、品物、預かる日時と目的、連絡の方法、何日以内か、期限後の扱い、保管中の扱い、署名を入れます。

出典:査定お任せくんのコラム「迷った品の預かり方」(2026年10月27日に確認)。店によってやり方は違います。保管中の責任や、古物営業法での扱いは、警察署や弁護士に確かめてください。

専門外の品は、昔は断ることが多くありました。
今は、断るだけでは機会の損です。
断らずに、預かって、専門業者に聞く道があれば、お客様の満足も、自社の収入も増えます。

3小さく始める順番:副業から

便利屋に買取を足すのは、副業としても始められます。
在庫と資金の負担を小さくするため、順番を決めます。

順番やることメモ
1古物商許可を取る手数料19,000円、審査40日の目安。営業所を管轄する警察署に申請する
2買い取る品を絞る最初は、値段が見通せる品に絞る。広げるのは経験が積めてから
3売り先を決める自分で売る、1社に売る、何社かに写真で値をつけてもらう、から選ぶ
4帳簿をつける買い取りのたびに、日付、品名、相手の住所・氏名などを記録する(古物営業法 第16条)
5見積書を作る作業代と買取額を別の行にする

出典:古物営業法 第15条・第16条(e-Gov法令検索・2026年11月4日に確認)。手数料と日数は、古物商許可の取り方の記事(滋賀県・京都府の審査基準)を参照。

買い取った品を置く場所も、先に決めておきます。
売れるまで、在庫として場所を取るからです。
小さく始めるなら、在庫を持たず、写真で値段を聞いて売る形が、負担は小さくなります。

買取を始めると、相手の確認も始まります。
お客様から品物を買い取る時は、相手の真偽を確かめます(住所・氏名・職業・年齢の確認など。少額の取引などの例外は、警察署に確かめます)。
不正品(盗品など)の疑いがあれば、すぐに警察官に申告します(第15条第3項)。

許可の取り方古物商許可の取り方⁠|資格は要る?申請の流れ・必要書類・手数料・日数

4作業代と買取額を分けて見せる

便利屋の見積書は、作業代の1行だけで書かれていることが多いと思います。
そこに買取が入ると、作業代と買取額を別の行にして、最後にお支払いの差し引きを書きます。

見積書の行書くこと
作業代作業の内容、人数、時間
買取額買い取る品の名前、点数、1点ごとの金額
差し引き作業代から買取額を引いた、お客様のお支払い

出典:佐野真の整理。金額の例は、作り物になるので載せません。

船橋市は、無許可の業者が作業料と称したり、ほかの有価物と相殺したりして、回収料を取られていると分かりにくくなる例に注意を呼びかけています(令和4年2月28日更新・2026年11月4日に確認)。見積書で作業代と買取額を分けるのは、買取額を正しく示すためです。家庭の不用品の運搬や処分を作業代に入れるときは、一般廃棄物の許可を持つ会社が行う分に限ります。

差し引きの金額だけを見せると、何が売れたのか分からず、「もっと高く売れたのでは」と疑われます。
同じ10万円でも、根拠を伝えると、満足していただけます。
金額だけでなく、何を見て、どういう根拠でその値段にしたかを、一緒に伝えます。

5目利きがなくても売り先を持てる

買い取る力は、品物を見た数で育ちます。
便利屋は、品物を見る機会が、買取店ほど多くない場合があります。
目利きが育つまでの間は、専門業者に写真で値段を聞く方法があります。

売り先の持ち方手間便利屋に向く場面
自分で売る撮影・出品・発送が全部自分値段が見通せる、点数の少ない品
1社に売る持ち込むだけ手間を減らしたい品。値段は1社が決める
何社かに写真で値をつけてもらう写真を撮って送る目利きに自信がない品、種類がばらばらの品

出典:佐野真の整理。詳しい比較は、売り先の比較の記事に書きました。

専門業者は、その商材に強い会社なら、即金で買い取ってくれることがあります。
ただ、大きな傷みがあれば減額されます。
悪いところを隠して出すと、減額になり、お互いに遅くなります。
写真と一緒に、傷みや欠けは、正直に伝えておきます。

お任せくんを使う場合の費用は、月額6,980円(税別・ベータ版の価格・先着30店で2027年6月30日までの申込)です。
×12か月で83,760円、約8.4万円です。依頼者には成約の手数料がかからず、代金の振込は1回380円(税別)です。
ずっとこの価格とは限らず、見直す時は30日前に知らせがあります(2026年11月4日に確認した公開ページによる)。

許可がない会社は、先に古物商許可を取り、取れたらお任せくんに登録します。登録には、許可番号と営業所の住所が要ります。

売り先の比較買取店の売り先の比較⁠|業者オークション・古物市場・専門業者・ネット販売の違い

6よくある質問

便利屋の開業に、資格は要りますか⁠?

資格は要りません。
ただ、品物を買い取って売るなら古物商許可が、家庭の不用品を料金をもらって運ぶなら市町村長の一般廃棄物の許可が、別に要ります。

便利屋に古物商許可は必要ですか⁠?

依頼された品物を買い取って売るなら、必要です。
掃除や修理、代行だけなら、古物を買わないので、この許可は要りません。
無許可で古物営業をすると、3年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金です(古物営業法 第31条)。

便利屋が家庭の不用品を引き取れますか⁠?

料金をもらって集めて運ぶには、市町村長の一般廃棄物の許可が要ります。
古物商許可では代わりになりません。許可を持つ会社に渡す、提携する、という方法があります。

便利屋の副業で買取を始めるには、何からしますか⁠?

古物商許可を取り、買い取る品を絞り、売り先を決める、の順です。
目利きに自信がなければ、専門業者に写真で値段を聞く方法があります。

買い取れない品を聞かれたら、どう答えますか⁠?

買取はできないと先に伝え、処分の方法を案内します。
市町村の収集や、許可を持つ会社を案内する形です。
迷う品は、預かり書で預かり、何日以内に連絡するかを伝えます。