「親の家に物が山ほど残っている。どれが売れて、どれが捨てるものなのか分からない」
実家の片付けで、いちばん多い迷いです。
この記事は、実家じまいの全体の進め方ではなく、物の価値に絞って書きます。
売れるものと売れないもの、仕分けの箱の作り方、捨てる前に確かめるもの、空き家から出るもの、頼めるところの種類の順です。
相続や空き家の手続きは、専門の窓口の仕事なので書きません。
私は買取の現場で、実家じまいの品を見てきました。表は、そこで見てきた傾向です。
1実家じまいで「売れるもの・売れないもの」
お客様は、どれが売れて、どれが処分になるのか分からないまま、片付けに入ります。
リユースできるものは、結構あります。ただ、全部に買取の値段がつくかは別の話です。
| 品物 | 値段の | 家で | 現場で |
|---|---|---|---|
| 金・ | つきやすい | 内側の刻印(K18・Pt900など)。片方だけのピアス、切れたチェーン | 壊れていても値段がつくことがある。磨かず、そのまま出す |
| トップブランドの | つきやすい | ヴィトン、シャネル、エルメス、バーバリーなど。箱・保存袋・カード・レシート | 百貨店やセレクト系のブランドは、買った時は高くても、二次流通では安くなりやすい |
| 腕時計 | つきやすい | 箱、保証書、ベルトの余りコマ | 動かなくても値段がつくことがある。電池を替えたり、自分で直したりしない |
| デジタルカメラ・ | つくことが多い | 本体と付属品、箱、説明書 | 捨てる予定だったカメラ、サックスなどに値段がついた |
| レコード・CD | つくが高くはない | ばらさず、まとめて | 捨てる予定だったものに、値段がついたことがある |
| 骨董 | 有名な作家ならつくことがある | 作家名の分かる箱書き | 作者が分からないものは、つきにくい |
| 木箱入りの | 意外とつかない | 共箱、桐箱、書付 | ロマンを感じるが、値段はつかないことが多い |
| 着物 | 期待されてもつかないことが多い | たとう紙、証紙 | 買取を強化とうたう店も多いが、入口の商品なだけで、がっかりされることが多い |
| 毛皮・服 | 下がっている | ブランドのタグ、状態 | 毛皮は昔100万・200万円したものでも、今は数千円単位。服は流行があり、数年で落ちる |
| 家電・家具 | ほとんど処分費がかかる | 家電は購入から5年以内か | つくのは5年以内の新しいものが中心。家具は有名なブランドでないとつかない |
出典:私が買取と実家じまいの現場で見てきた傾向です。値段は1点ずつ違うので、金額は書いていません。
エムズグレイシー
ハンドバッグ
プラチナ万年筆
メガネ
値段がつかないものも、すぐごみになるとは限りません。
買取店で値段がつかないものが、まとめて海外に回ることもあります。ただ、運ぶ費用がかかるので、買取の値段にはなりません。
捨てるだけでなく、使う人がいる。それがリユースの面白さです。
本物か偽物かは、自分で決めなくてかまいません。
買取店は、その店の査定基準で、基準内か基準外かを伝えます。
2仕分けの箱は4つ:売る・残す・捨てる・保留
不動産会社の解説では、「捨てる」「残す」「保留」に分けられる箱や袋を、複数用意する方法が勧められています。
ここでは、そこに「売る」を足した4つにします。
| 箱 | 入れる | メモ |
|---|---|---|
| 売る | 査定に出すもの。金・ブランド品・時計・カメラなど | 売ると決める前に、持ち主を確かめる(4章) |
| 残す | 形見にするもの、大事な書類、写真や手紙 | 写真や手紙は最後に回す。量が多ければ箱にまとめる |
| 捨てる | 粗大ごみ、家電リサイクル、資源ごみなど、行き先が決まっているもの | 家庭のものを運ぶ業者は、許可を確かめる |
| 保留 | どれにも決められないもの | 無理に決めない。あと回しにしてよい |
判断に迷う時の目安は、今後使う予定があるか、管理できる人がいるか、代わりがきくか、思い出の強さ、状態、の5つの視点です。
どれにも当てはまらない時が、保留の箱の出番です。
親が「捨てたくない」と言う時は、「これ売れるよ。売ってもいい?」と聞かれて、了承した家族の例がITmediaの記事にあります。
方針が「捨てる」から「使うか、売るか」に変わり、片付けが進んだそうです。
親の持ち物は、親の気持ちを聞いてから決めます。
3現場で見た実家じまい
きょうだいの実家じまいに、買取の仕事で立ち会ったことがあります。
とても暑い夏の日のことです。昔の写真、通知表、お父さんが趣味で書いた掛け軸が出てきました。
その家の最後に立ち入らせてもらう、すごく良い仕事だと思いました。
現場で私がする仕事は、見積もりと買取です。
お金をいただけるのは買取の部分で、買い取った分は、片付け全体の費用を下げます。
片付けの作業は、提携しているパートナーの業者が行います。
遠方の実家は、そのまま暮らしているような生活感があります。
私が行った数はそんなに多くありませんが、生活されているままの家でした。
片付けだけなら、3LDKでも4LDKでも、朝から夕方まで3人ほどで1日で終わります。
ただ、買取できる品をちゃんと見つけるために、1日かけて分けました。
買取の品を見つけるのに1日、そのあとに片付け、という流れです。
買い取った分で費用が下がった実例は、実家じまいの現場に密着した動画にあります。
金額も動画の中で話しています。
4捨てる前に確かめるもの
片付けの途中で、通帳や現金はよく出てきます。
見つけたら、しっかりお客様にお伝えします。驚かれることが、とても多いです。引き出しの奥、衣類のポケット、本の間も確かめてください。
| 見つけたもの | どう |
|---|---|
| 封の | 勝手に開けない。家庭裁判所で、相続人の立ち会いのもとで開封する(民法第1004条) |
| 通帳・印鑑・ | 捨てずにまとめて保管。手続きに使う |
| 現金・ | 見つけた分は記録を残して、家族と共有する |
| 不動産や | 家の売却や名義の手続きで使う。まとめて保管 |
| 仏壇・ | 菩提寺や神社に作法を聞く。供養をこちらから提案する形で扱うことが多い |
| 写真・手紙 | 量が多ければ、まず箱にまとめて保留。家族で見てから決める |
| パソコン・ | 個人情報が入っている。そのままごみに出さない |
民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認をしたとみなす、と定めています(第921条)。
放棄や限定承認ができる期間は、相続の開始を知った時から3か月以内です(第915条)。
売る前に、弁護士や司法書士に相談してください。
相続人が数人いる時は、相続財産はその共有です(民法第898条)。
ひとりの判断で売らず、きょうだいに伝えてから売ります。
出典:e-Gov法令検索「民法」第898条・第915条・第921条・第1004条(2026年10月27日に確認)。
万年筆デュポンの5空き家から出る売れるもの
長く人が住んだ家には、値段がつくものが混ざっています。
空き家でも、見るものは同じです。金・プラチナ、トップブランドのバッグ、腕時計、カメラ、管楽器、レコード。
見積もりの前に査定を受けておくと、処分する量が減り、片付けの見積もりが下がることもあります。
遠くて通えない時は、写真を撮って家族で分ける方法もあります。
迷うものは保留に入れます。
空き家の費用や、空家法・控除・補助金の手続きは、ここでは扱いません。遺品整理相談センターの案内を見てください。
6片付けの順番と、1日でできること・できないこと
| 順番 | やる | 時間の |
|---|---|---|
| 1 期限と | 賃貸なら退去の期限、持ち家なら売却や解体の予定を確かめる | 期限があれば、相談を早めに始める |
| 2 家族に | きょうだいや親族に、片付けを始めることを伝え、形見にしたいものを聞く | 片付けの前に済ませる |
| 3 大事な | 遺言書、通帳、印鑑、保険や不動産の書類 | 物の量で変わる |
| 4 売る | 貴金属、ブランド品、時計、カメラ、骨董を分けて査定に出す | 私の現場では、見つけるのに1日 |
| 5 残りを | 自治体の粗大ごみ、業者への依頼 | 3LDK・4LDKで3人ほどなら1日 |
最初から、思い出の品に手をつけないのがコツです。
判断に迷いにくい台所や洗面所から始め、衣類や貴重品、最後に写真や手紙、の順に進めます。
7家族でもめない進め方
実家じまいの現場では、話がまとまらないこともあります。
親御さんは了承していたのに、息子さんが入ってきて、話がひっくり返ったことがありました。
そうなったら、私たちは交渉もしません。ご家族の中で決めていただきます。正直、この仕事でしんどいところです。
もめる理由の多くは、親世代と子世代の価値観の違いです。
親世代はものがあふれていない時代に育ったので、物をためます。子世代はものがあふれた時代に育ったので、ためません。
子は「そんなにためても使わないから、捨てよう」と言い、親は「まだ使うかもしれない」と言う。ここで口論になります。
お互いの価値観を分かった上で話さないと、片付けは進みません。
8依頼先の種類の比較と、自分でやる時
| 頼めるところ | 向くもの・ | お金の | 許可 |
|---|---|---|---|
| 買取店 | 値段がつくもの | 店が払う | 古物商の許可 |
| 遺品整理の | 家全体の仕分けから搬出、清掃まで | 依頼者が払う(買取があれば差し引く形もある) | 家庭のものを運ぶなら、市区町村の一般廃棄物の許可か、許可業者との提携 |
| 不用品回収の | 処分が決まったものの運び出し | 依頼者が払う | 同上 |
| 自治体の | 家具、自転車、日用品 | 手数料を払う | 自治体が行う |
| 自分で | 量が少ない。お金をかけられない | 労力で払う | 要らない |
お金がなくて頼めないなら、自分でやるのがいいと私は思います。
結局、お金で解決するか、自分の労力で解決するかのどちらかです。
遺品整理や不用品回収の業者は、売り先を分かっていないと感じます。
近くの買取店に持ち込んでいて、一般のお客様と同じ扱いになっているのが実情です。
回収に出す前に、買取の品を抜く順番が、手取りを変えます。許可の見方と見積書の見方は、専用の記事に書きました。
9訪問買取の8日間
実家の片付けが始まると、「不用品を買い取ります」という電話や訪問が来ることがあります。
訪問購入は、書面を受け取った日から8日間は、クーリング・オフができ、その間は品物を渡さなくてよい決まりです。
ただし、自分から「自宅で売買の契約をしたい」と頼んだ場合などは、当てはまりません。
断り方と、売ってしまった後の進め方は、専用の記事に書きました。
10よくある質問
実家じまいで売れるものは何ですか?
値段がつきやすいのは、金・プラチナ、トップブランドのバッグ、腕時計、デジタルカメラ、管楽器です。
着物、毛皮、古い服、5年を超えた家電、ふつうの家具は、期待するほど値段がつかないことが多くあります。
仕分けで迷うものはどうしますか?
無理に決めず、保留の箱に入れます。
金・ブランド品・時計などは、捨てる前に査定に出して、値段がつくかを聞くと決めやすくなります。
古い家電や家具は売れますか?
家電は5年以内の新しいものが中心で、家具は有名なブランドでないと値段がつきません。
ほとんど処分費がかかると思っておく方が分かりやすいです。
相続放棄を考えているとき、片付けてもいいですか?
物を売ったり捨てたりすると、相続を認めたとみなされるおそれがあります(民法第921条)。
放棄を決める前は処分を待ち、弁護士や司法書士に先に相談してください。
片付けだけなら、どれくらいで終わりますか?
3LDKでも4LDKでも、朝から夕方まで3人ほどで1日で終わりました。
ただし、買取の品を見つけるために、私の現場では別に1日かけて分けました。
訪問買取のクーリング・オフはいつまでできますか?
買取業者から契約の書面を受け取った日から8日間です。
期間内は品物を渡さなくてよい決まりです。自分から自宅での契約を頼んだ場合などは当てはまらないので、迷う時は消費者ホットライン188に相談してください。
売れるものとつきにくいもの、片付けの流れ、家族の話は、私が実家じまいの現場と買取で見てきたことです。値段は1点ずつ違うので、金額は書いていません。
法律は、e-Gov法令検索の民法と特定商取引法を2026年10月27日に確認しました。仕分けの箱の考え方は、アットホームの実家の片付けの案内と、ITmediaの記事によります。






