遺品整理で捨ててはいけないものは、書類・お金・借り物・値段がつく品の4つです。
このうち書類とお金は、ほかの記事にもよく書かれています。
この記事は、親の家を片付けている子世代の人に向けて、4つ目の「値段がつくのに、ごみに見えて捨てられやすい品」を、実物の写真で見せます。
写真は、当社のネット店で扱った品です。
私は2008年から買取の現場にいて、実家じまいの品も見てきました。
実家じまいの現場では、捨てる予定だった品に、値段がついたこともあります。
18金
メガネのフレーム
18金
壊れた飾り
18金
ブローチ
1捨ててはいけない物は4つの組
先に4つの組を決めておくと、片付けの途中で迷う時間が減ります。
家族で手分けする時は、この表を送っておくと、同じ物差しで分けられます。
| 組 | 主な物 | 捨てない |
|---|---|---|
| 書類 | 遺言書・権利証・保険証券・年金や保険の通知・契約書・借入れの書類 | 相続と解約の手続きで使う |
| お金 | 現金・通帳・キャッシュカード・印鑑・有価証券の書類・記念硬貨・切手 | 相続財産に入る。片付けの途中でよく出てくる |
| 借り物 | 介護用品のレンタル品・ネットの回線の機器・人から借りた本や道具 | 持ち主に返す物 |
| 値段が | 金・プラチナの小物(壊れた物も)・腕時計・万年筆・洋食器・カトラリー・スカーフ・ブランド品・カメラ | ごみに見えても、売れる物がある |
写真と手紙は、値段がつかなくても、家族に聞いてから決めます。
いったん捨てると、戻せない物だからです。
2書類とお金は開けずに集める
書類とお金は、中身を読み込む前に、1つの箱に集めます。
片付けの途中で、通帳や現金はよく出てきます。
私が立ち会った現場でも、驚かれるご家族が多くいました。
| 見つけた物 | すること | 決まり |
|---|---|---|
| 封のある | 開けずに、家庭裁判所の検認の手続きをする | 民法第1004条:封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立会いがなければ開封できない。第1005条:家庭裁判所の外で開封した者は5万円以下の過料 |
| 検認が | 公正証書の遺言と、法務局に保管された自筆の遺言 | 裁判所の案内:どちらも検認は要らない |
| 通帳・ | 出てきた場所を書いて、1つの箱へ | 相続人が数人いれば、相続財産は共有になる(民法第898条) |
| 相続放棄を | 売らず、捨てずに待つ。弁護士か司法書士に相談する | 民法第921条:相続財産を処分したときは、単純承認をしたとみなす。民法第915条:放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(家庭裁判所で延ばせることがある) |
出どころ:裁判所「遺言書の検認」/e-Gov法令検索「民法」第898条・第915条・第921条・第1004条・第1005条(2026年11月2日に確認)。
3値段がつくのに捨てられやすい品
捨てられやすいのは、小さい・壊れている・古く見える品です。
ごみ袋に入れる前に、次の品だけは手を止めて見ます。
金の小物(壊れた物・メガネの部品も)
金は、形が壊れていても、重さで値段がつきます。
切れたチェーン、曲がった指輪、片方だけのピアス、留め具の取れたブローチも同じです。
金縁のメガネのフレームや、飾りのピンにも、金の物があります。
18金
飾りのピン
18金
ネックレス
古い腕時計
止まっている時計も、捨てずに残します。
電池を替えたり、自分で開けたりせず、そのまま査定に出します。
箱・保証書・余りのコマが残っていれば、一緒にとっておきます。
ロンジン
腕時計
オメガ
デ・ヴィル
万年筆
万年筆は、父の机の引き出しやペン立てから出てくることがある品です。
インクが固まっていても、洗わずに出します。
ペン先に「14K」「18K」などの刻印がある物があり、当社のネット店で扱った万年筆の品名にも、ペン先の素材が書かれています。
モンブラン
万年筆
モンブラン
ペン先
パイロット
ペン先
洋食器・カトラリー
食器棚の奥の、箱に入ったままの洋食器やカトラリーも残します。
皿の裏やスプーンの柄に、ブランド名や刻印が入っている物があります。
箱と一緒に出すと、何の品かが伝わりやすくなります。
ウェッジウッド
小皿
ジョージジェンセン
ティースプーン
クリストフル
カトラリー
スカーフ・ライター
たんすの引き出しのスカーフや、灰皿の横のライターも、ブランドの品なら値段がつくことがあります。
スカーフは隅のブランド名、ライターは本体に打たれた刻印を見ます。
エルメス
スカーフ
デュポン
ガスライター
期待しすぎない品も知っておく
反対に、思ったほど値段がつかない品もあります。
私が見てきた中では、毛皮は、昔100万円、200万円した物でも、今は数千円から、良くても数万円になることが多いです。品物と状態で変わります。
着物も、期待されても値段がつかないことが多い品です。
木箱入りの茶器や掛け軸も、有名な作家の物でなければ、意外と値段がつかないことが多い品です。
それでも、捨てるか売るかは、店に見せてから決めても遅くありません。
4見分ける所は刻印・ブランド名・箱
値段がつくかどうかは、自分で決めなくてかまいません。
ただ、捨てる前に次の3つを見ておくと、残す物が分かります。
- 刻印を見る指輪は内側、ネックレスは留め具の近く、万年筆はペン先、ライターは本体。「K18」「750」「Pt900」「14K」などの文字や数字があれば、残します。
- ブランド名を見るスカーフの隅、皿の裏、時計の文字盤、ペンのキャップの先。読めた名前を紙に書きます。
- 箱と書類を探す購入時の箱、保証書、鑑定書、説明書。品物と同じ袋に入れます。
刻印の読み方には、1つ気をつける点があります。
造幣局は、「750」は金の品位が75%でK18にあたると案内しています。
一方で、「K18」とだけ刻印された製品は、造幣局が品位を証明した物ではないとも案内しています。
造幣局のマークは任意の制度で、マークの無い製品もあります。
刻印があってもなくても、自分で決めずに店に見せます。
出どころ:造幣局「貴金属製品の品位証明」・品位区分と証明記号(2026年11月2日に確認)。
金製品の種類別相場
5迷ったら保留の箱へ
迷った物は、捨てる箱に入れず、保留の箱に入れます。
保留の箱は、家族がそろう日か、店に見せる日まで開けません。
- 箱を1つ決める段ボールに「保留」と大きく書き、ごみ袋と離れた部屋に置きます。
- 入れる時に、出てきた場所を書く「寝室のたんす2段目」など。家族に聞かれた時に答えられます。
- スマホで撮って家族に送る形見として残したい人がいないかを、先に聞きます。
- 店に見せる残す人がいなかった物だけを、査定に出します。値段がつかなかった物は、そこで捨てるかを決めます。
相続人が数人いる時は、保留の箱の物を売る前に、ほかの相続人に伝えます。
形見の指輪やネックレスの分け方は、別の記事に書いています。
6業者に頼む時に伝えること
片付けを業者に頼む時は、探してほしい物を紙に書いて、作業の前に渡します。
口で伝えるだけだと、作業する人に伝わらないことがあります。
| 渡す | 例 |
|---|---|
| 探してほしい物 | 遺言書・通帳・印鑑・権利証・現金・指輪・時計 |
| 見つけたら | 捨てずに、保留の箱へ。見つけた場所を書く |
| 返す物 | 介護用品のレンタル品・回線の機器 |
| 家族が | 部屋と品物の名前 |
私がいた現場では、片付けだけなら3LDKや4LDKでも、3人ほどで朝から夕方までに終わりました。
ただ、買い取れる品をきちんと見つけるために、片付けの前に1日かけて分けたことがあります。
売れる物を先に分けてから片付けると、売れた分を、片付けの費用に回せることがあります。
7よくある質問
遺品の整理ってとにかく捨てていますか?
捨てる前に、書類・お金・借り物・値段がつく品の4つを分けます。
この4つに入らない物から捨てると、間違えて捨てることが減ります。
迷った物は保留の箱に入れて、家族に聞いてから決めます。
遺品はできる限り捨てなければいけないものなのでしょうか?
捨てなければいけない決まりはありません。
賃貸の退去日や家を売る日など、片付けの期限から逆算して決めます。
相続放棄を考えている間は、相続財産を処分すると単純承認とみなされることがあるので、売らず、捨てずに待ちます(民法第921条)。
買って2〜3年のスーツやカバンは処分してよいのでしょうか?
処分する前に、ほかの相続人に伝えます。
相続人が数人いる時、相続財産は共有になります(民法第898条)。
新しいブランドのバッグや服は、売れることがあるので、捨てる前に店で見てもらいます。
古い切手や記念硬貨がたくさん出てきたらどうすればいいですか?
捨てずに、お金の組として保留の箱に入れます。
記念硬貨は、銀行で替えるか売るかで扱いが分かれるので、記念硬貨の記事で順番を説明しています。
刻印が無い金色のアクセサリーは捨てていいですか?
捨てずに、店に見せます。
造幣局は、造幣局のマークの無い貴金属製品もあると案内しています。
刻印が読めない物や無い物も、自分で決めずに店に見せます。
次の資料を2026年11月2日に確認して書きました。
裁判所「遺言書の検認」。
e-Gov法令検索「民法」第898条・第915条・第921条・第1004条・第1005条。
造幣局「貴金属製品の品位証明」「品位区分と証明記号」。
写真は当社のネット店で扱った品です。
値段のつき方は、私が買取と実家じまいの現場で見てきた傾向で、1点ずつ違うので金額は書いていません。
捨てた後に気づいた時の取り戻し方は、ごみの扱いが自治体で違い、確かめられなかったので書いていません。







