「不用品回収の業者は、買取もしてくれるのだろうか」
「古物商の許可を持っているなら、回収も頼めるのか」
実家の片づけで出る物を前にすると、この迷いが出ます。
買取と回収は、似て見えて、頼む中身がまったく違います。
この記事は、違いを許可の面から整理して、実家の物をどちらに分けるかを、私の現場の話もまじえて書きます。
1買取と回収は、頼む中身が違う
買取は、品物に値段をつけて、お店が買う取引です。
お金を受け取るのは、依頼した側です。
回収は、いらない物を引き取ってもらう取引です。
多くの場合、お金を払うのは、依頼した側です。
| 比べる点 | 買取 | 回収 |
|---|---|---|
| 頼む目的 | まだ使える物、値段がつく物を売る | いらない物を片づけて、処分する |
| お金の | 店が払う(依頼者が受け取る) | 依頼者が払う(収集運搬や処分の費用) |
| 必要な | 古物商の許可(古物営業法第3条) | 家庭から出る物なら、一般廃棄物の収集運搬の許可(廃棄物処理法第7条) |
| 許可を | 都道府県の公安委員会 | 市町村長 |
出どころ:古物営業法 第2条・第3条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第7条(e-Gov法令検索・2026年10月31日に確認)。
古物営業法は、中古の品を売買する営業に許可を求めています。
古物には、書画のような鑑賞的な美術品も含まれます(第2条)。
一方、家庭から出る不用品を「業として」集めて運ぶには、市町村長の許可が要ります。
2つの許可は、出す役所も、守る法律も、別です。
2許可は、互いの代わりにならない
実家の片づけで名前を聞く許可を、4つ並べます。
| 許可 | できる | できない |
|---|---|---|
| 古物商の | 中古品の買取と販売 | 家庭から出る廃棄物の収集運搬 |
| 一般廃棄物の | 家庭から出る廃棄物の収集運搬 | この許可だけでは、買い取った中古品を売る営業はできない(古物商の許可が別に要る) |
| 産業廃棄物の | 工場や企業の事業から出る廃棄物の扱い | 家庭から出る廃棄物の収集運搬 |
| 市町村の | 市町村から頼まれた範囲の収集 | それ以外の家庭の収集 |
出どころ:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」、東京都環境局「不用品回収」のチラシ(令和6年10月発行)、横浜市「『無許可』の廃棄物回収業者に注意!」(2025年8月5日更新)。いずれも2026年10月31日に確認。
環境省は、古物商の許可は中古品の売買用、産業廃棄物の許可は工場や企業の廃棄物用で、どちらも家庭ごみの回収はできないと説明しています。
東京都のチラシにも、「古物商の許可は買取りか交換が原則」と書かれています。
許可がないまま回収を続けた時の罰則
廃棄物処理法は、許可を受けずに一般廃棄物の収集運搬を業として行った者に、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方を定めています(第25条)。
法人の場合は、罰金が3億円以下です(第32条)。
出どころ:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第25条第1項第1号・第32条(e-Gov法令検索・2026年10月31日に確認)。
3実家の物は、値段のつき方で分ける
どちらに頼むかは、品物の値段のつき方で決まります。
私の現場では、値段がつきやすいのは貴金属とブランド品、そしてデジタルカメラでした。
トップブランドの品は、今も値段がつきやすいです。
反対に、家電は基本的に値段がつかないと思ってもらったほうが、話が早いです。
つくのは、5年以内の新しい物が中心です。
家具も、有名なブランド品でなければ、基本的に値段がつきません。
家具と家電は、ほとんど処分費がかかると思っておく。
それが、実家の片づけの感覚です。
| 品物 | 頼む先 | 理由 |
|---|---|---|
| 貴金属・ブランド品・ | 買取 | 値段がつきやすい。捨てる前に見てもらう |
| デジタルカメラ | 買取 | 値段がつくことが多い |
| 骨董・掛け軸・茶道具 | まず買取(見てもらう) | 有名な作家の物には値段がつくことがある。木箱入りで立派に見えても、意外とつかない物も多い |
| 着物 | 見てもらったうえで判断 | 期待されても、値段がつかないことが多い |
| 5年以内の | 買取 | 新しく、動くなら値段がつく |
| 古い家電・ | 回収(処分) | ほとんど処分費がかかる |
出どころ:目利き一郎が現場で見てきたこと。値段は1点ずつ違うので、金額は書いていません。
捨てる予定だった物に値段がついた例では、カメラ、骨董品、レコードやCD(高くはつかない)、サックスなどの管楽器がありました。
骨董と着物の見方は、それぞれ別の記事に書いています。
4頼める所の種類を並べて比べる
実家の片づけを頼める所は、種類で見ると4つあります。
順位はつけず、役割だけを並べます。
| 種類 | 向く | 必要な | お金の |
|---|---|---|---|
| 買取店 | 値段がつく物 | 古物商の許可 | 店が払う |
| 遺品整理の | 家全体の片づけ(買取は業者による) | 家庭の廃棄物を運ぶなら、一般廃棄物の許可か、許可業者への引き渡し | 依頼者が払う(買取があれば差し引く形もある) |
| 不用品回収の | 処分する物 | 一般廃棄物の許可、または市町村の委託 | 依頼者が払う |
| 遺品整理相談センター | 遺品整理の業者探し、見積りの比較、日程の調整の相談。対象は大阪府・兵庫県・滋賀県 | 家財の買取はセンター、整理と搬出は提携の業者が担当。作業の契約は依頼者と業者が直接結ぶ | 公式ページの記載(2026年10月31日に確認) |
| 自治体 | 家庭の廃棄物 | 自治体が行う | 手数料を払う |
出どころ:環境省「リユース業界を取り巻く環境関連法の法的環境の整理(Ver.1.0)」(平成25年度)、環境省・東京都・横浜市の上記ページ。業者ごとの許可の有無は、会社ごとに違います。
買取と片づけを一緒に頼む時の、費用の差し引きの仕組みは、別の記事に書いています。
関連遺品整理と買取を一緒に頼むと費用はどう変わる?|差し引きの仕組みと確かめる点5看板だけで決めず、許可を確かめる
「買取します」「無料で回収します」と書いてあっても、どちらの許可があるかは、看板からは分かりません。
環境省の調査(2011年)で、利用した不用品回収業者の許可の取得状況を聞いたところ、最も多い回答は「わからない」で、84.5%(822件)でした。
確かめる所を、順に並べます。
- 許可番号を見る横浜市は、許可を持つ業者の収集車両に4桁の許可番号が表示されていて、配るチラシにも同じ番号を載せるよう市が依頼している、と説明しています。許可業者の一覧は、市のページで見られます。
- 呼び方を見る町中を巡回する、空き地で回収する、チラシを配る、インターネットで広告する、は無許可の業者の例として環境省が挙げています。横浜市も、軽トラックでの街宣、「無料で廃棄物を回収します。」と書いたチラシ、空き地の看板を、無許可業者の方法に挙げています。許可を持つ業者は、軽トラックで街宣しながら回収することはない、と横浜市は書いています。
- 見積書で、買取額と回収費を分けてもらう買取と回収を1社に頼む時は、品物ごとの買取額と、回収や処分の費用を、別の行で書いてもらいます。環境省の整理でも、買い取れない一般廃棄物の依頼を受けた時は、市町村のごみ収集か、許可を持つ事業者への引き渡しを案内するのが対応策とされています。
- 廃家電の買取に気をつけるエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は、有害物質やフロンガスが出ないように処分する必要があります。東京都は、廃家電をスクラップとして買い取り、つぶして銅などを回収する行為は、買い取った物でも違法になる、と注意しています。
出どころ:横浜市「『無許可』の廃棄物回収業者に注意!」(2025年8月5日更新)、環境省ページ、環境省「不用品回収業者に関する調査結果について」(2011年5月23日発表・過去1年に家電4品目を不用品回収業者などに引き渡した20歳以上の消費者3,000人への調査)、東京都環境局のチラシ。いずれも2026年10月31日に確認。84.5%は許可の取得状況の設問への回答の中での割合で、母数は発表資料に書かれていません。調査は古い数字です。
横浜市のページには、回収は無料と言われて頼んだら、あとで高額な処分料を請求された例や、積み込みのあとで作業料を取られた例が載っています。
片づけの見積もりでも、極端に安い金額を出す業者はいます。
実際にやってみると、その金額ではなく、追加費用を取られることがよくあります。
何社かで見積もりを取り、安さだけで決めない、が私の考えです。
6先に買取の品を抜く、順番にする
私が実家じまいの現場でしている仕事は、見積もりと買取です。
お客様に金額を払うのは買取の部分で、その分が、片づけ全体の費用を下げます。
順番は、買取の品を探す日が先、片づけが後です。
片づけだけなら、3LDKでも4LDKでも、3人ほどで1日で終わります。
買い取れる品を見落とさないように、先に1日かけて分けたことがありました。
この順番だと、頼む先が自然に分かれます。
- 形見と残す物を抜く家族が使う物、残したい物を先に外します。
- 値段がつきそうな物を分けて、買取に見てもらう貴金属、ブランド品、時計、カメラ、骨董。迷う物も、捨てる前に見てもらいます。通帳や現金は、片づけの途中でよく出てくるので、見つけたら家族に伝えます。
- 残りを、自治体か許可のある業者に頼む市町村の粗大ごみで足りるか、業者に頼むかを、量と日程で決めます。
業者の人も、買取店に持ち込んでいる
買取店をやっていると、遺品整理や不用品回収の業者の方が、お客さんに混じって品物を持ち込んで来ることがあります。
この商品は本物か、いくらぐらいになるか、と聞かれます。
私が知る範囲では、業者の方から直接ご相談を受けたことはなく、一般のお客さんと同じ扱いでした。
片づけの業者に頼む時は、出てきた品を誰がどこで売るのか、売った分が見積もりにどう反映されるのかを、先に聞いておくと分かりやすくなります。
7よくある質問
不用品回収の業者に、買取もしてもらえますか?
古物商の許可を持つ業者なら、買取は頼めます。
ただし、処分のために回収する物は、別の許可が要ります。
買取額と回収費が、見積書で別の行になっているかを確かめてください。
古物商の許可があれば、不用品を回収できますか?
できません。
環境省は、古物商の許可は中古品の売買用で、家庭ごみの回収はできないと説明しています。
家庭から出る廃棄物を集めるには、市町村長が出す一般廃棄物の許可が要ります。
「無料回収」の業者は、違法ですか?
無料とうたっていても、家庭の廃棄物を業として集めるなら、許可が要ります。
横浜市は、「無料で廃棄物を回収します。」と書いたチラシやネットの案内を、無許可の業者の方法に挙げています。環境省は、チラシの配布やインターネットの広告を、無許可の業者の例にしています。
無料のはずが、あとで処分料を請求された例もあります。
買取と回収を、1社にまとめて頼めますか?
頼めます。
1社が両方の許可を持つか、買取を受ける会社と、回収を受ける許可業者が組んでいる形です。
どちらの形でも、許可番号と、買取額と回収費が別に書かれた見積書を確かめます。
古い家電は、買い取ってもらえますか?
値段がつくのは、5年以内の新しい物が中心です。
古い家電は、ほとんど処分費がかかると考えておくほうが、話が早く進みます。
エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は、有害物質を抜く決まりがあるので、無許可の業者には渡さないでください。
次の資料を2026年10月31日に確認して書きました。
古物営業法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)。
環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」「リユース業界を取り巻く環境関連法の法的環境の整理(Ver.1.0)」「不用品回収業者に関する調査結果について」。
東京都環境局の不用品回収のチラシ(令和6年10月発行)、横浜市「『無許可』の廃棄物回収業者に注意!」。
許可の条件や罰則は、個別のケースで判断が変わります。迷う時は、市町村の廃棄物の窓口に問い合わせてください。




