実家がゴミ屋敷になった時は、片付けを始める前に、親がその家に住んでいるかどうかで最初の動きを決めます。
住んでいる親の家を、子どもが一気に片付けようとすると、話がこじれやすいからです。
この記事は、離れて暮らす親の家がものでいっぱいになっていると気づいた、子どもの世代に向けて書きました。
私は2008年から買取の現場にいて、実家の片付けの相談も受けてきました。
ここでは、市区町村の調査と法律で確かめたことと、私が片付けの現場で見てきたことだけを書きます。
片付けの費用の相場は、確かめられる出典がなかったので書いていません。
1最初に確かめるのは親が住んでいるか
親が住んでいる家と、空いている家では、最初にすることが違います。
きょうだいで分担を決める時は、この表を送ってください。
| 実家の | 最初に | 相談先 |
|---|---|---|
| 親が | 片付けの話の前に、親の体の具合と、転倒・火事・虫の困りごとを聞く | 地域包括支援センター、市区町村のごみの担当課 |
| 親が | 親に、残したいものと探してほしいもの(通帳・印鑑・保険の書類)を聞いてから入る | 施設の相談員、地域包括支援センター |
| 親が | 通帳・現金・書類・値段のつくものを先に探す。相続人で、誰が片付けを進めるかを決める | 相続人どうし。相続放棄を考えているなら、弁護士か司法書士 |
| 賃貸で | 大家さんか管理会社に、明け渡しの期限を確かめる | 大家さん・管理会社 |
相続放棄を考えている間は、家のものを売ったり捨てたりする前に、専門家に相談します。
民法第921条は、相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなす、と定めています。
出典:民法 第921条(e-Gov法令検索・2026年11月2日に確認)。
2片付けを嫌がる親との話し方
知恵袋には、母親が業者を強く嫌がる、業者を紹介すると嫌がられて自分でやると言うが進まない、という子どもの相談が並んでいます。
行政が関わった事例でも、同じことが起きています。
| 総務省の | 中身 |
|---|---|
| 片付かない | 片付いていない119事例のうち、「市区の対応について居住者から理解を得られない」が約8割(97事例)、「居住者が解消を望んでいない」が約6割(69事例) |
| 物は | 片付いていない事例の約3割で、居住者が積まれたものを有価物(値打ちのあるもの)だと主張して、出すのに応じていない |
| 住む人の | 調べた181事例の約7割(131事例)で、居住者が要介護・認知症・精神疾患・生活の困窮など、健康面や経済面の課題を抱えている |
| 片付けた | 片付いていない事例の約3割は、一度物を出しても再発したか、再発の可能性があると市区が見ている。福祉の支援を続けて、再発を防いだ例がある |
出典:総務省行政評価局「『ごみ屋敷』対策に関する調査結果(概要)」(2024年8月28日通知・30市区の181事例・2026年11月2日に確認)。
親の世代と子どもの世代は、物への考え方が違います。
親の世代はものがあふれていない時代に育ったので、物をためます。
子どもの世代はものがあふれた時代に育ったので、ためません。
子どもが「そんなにためても使わないから捨てよう」と言い、親が「まだ使うかもしれない」と言うところで、口論になります。
どちらが正しいかではなく、育ってきた環境の違いだと分かった上で話さないと、片付けは進みません。
- 責める言葉を使わない「汚い」「ゴミ」と言わず、「転ばないか心配」「火が心配」と、親の体と家の安全の話から入る。
- 捨てるものは親に決めてもらう親のものなので、親の気持ちが先。通り道や台所など、困っているところから1か所ずつ。
- 家族の外の人にも相談する家族だけで話が進まない時は、3章の相談先に、家族から相談できる。
3家族だけで抱えない:役所の相談先
ゴミ屋敷は、家族の中だけの話ではありません。
環境省の調査では、市区町村がごみ屋敷の事案を知るきっかけに「原因者の親族等からの相談」が挙がっています。
| 相談先 | こんな | 決まりと |
|---|---|---|
| 地域包括 | 高齢の親が1人で住んでいる。体や物忘れが心配 | 介護保険法第115条の46で、市町村が置くことができる施設。暮らしの実情の把握や、関係機関との連絡などの総合的な支援を行う(第115条の45第2項第1号) |
| 市区町村の | ごみの出し方・大量のごみの出し方が分からない | 環境省の調査で、サポートをした担当で最も多いのが環境の担当。ごみの出し方や分け方の案内、収集の調整などの例がある |
| 市区町村の | 親が生活保護を受けている。お金が出せない | 環境の担当の次に多い。撤去の費用を保護費で支給した例が載っている |
| 高齢者の | 親がごみ置き場までごみを出せない | ごみ屋敷に住む人も対象にしている市区町村は162(約9.3%)。実家のある市区町村にあるかを聞く |
環境省の調査(令和6年度)では、全国1,741市区町村のうち672(約38.6%)が、直近5年度にごみ屋敷の事案を把握していると答えています。
ごみ屋敷に対応するための条例を作っている市区町村は、90(約5.2%)でした。
出典:環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月・調査時点は令和6年11月末・1,741市区町村が回答)。介護保険法 第115条の45・第115条の46(e-Gov法令検索)。いずれも2026年11月2日に確認。
4片付けは「探す」「分ける」「出す」の順番
親が片付けに同意した時や、空いている実家を片付ける時は、ごみを出す前に探す日を取ります。
私が関わった実家の片付け(ゴミ屋敷ではない家)では、片付けだけなら3LDKでも4LDKでも、3人ほどで1日で終わりました。
ただ、買い取れる品をちゃんと見つけるために、もう1日かけて分けました。
物が積み上がった家は、これより日数がかかると考えてください。
- 通帳・現金・書類を探す片付けの途中で、通帳や現金はよく出てきます。見つけたものは1つの箱に集め、家族に伝えます。
- 値段のつくものを分ける値段がつきやすいのは、貴金属・ブランド品・デジタルカメラなど。引き出しや箱の中の小さなものに気をつける。
- ごみを出す自治体の分け方に従うか、許可のある業者に頼む。
- 家具・家電を出す家具・家電は、ほとんど処分の費用がかかると思っておく。値段がつくのは、5年以内の新しい家電や、有名なブランドの家具が中心。
Pt850
ネックレス
K10
ブレスレット
ロンジン
腕時計
どの品が捨てやすく、どこを見れば値段がつくか分かるかは、別の記事で写真つきでまとめています。
物の山を崩す前に、家族で一度読んでおいてください。
| 家電の | 出し方 |
|---|---|
| テレビ・エアコン・ | 家電リサイクル法の対象。家電の小売店などが引き取り、メーカーがリサイクルする。引き渡す時に、リサイクル料金と収集運搬料金がかかる |
| そのほかの | 自治体の分け方(粗大ごみ・小型家電の回収など)を確かめる |
出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」の家電4品目の案内(2026年11月2日に確認)。
5自分でやるか、業者に頼むか
片付けは、お金で解決するか、自分たちの労力で解決するかのどちらかです。
お金が出せないのであれば、家族でやるのがいいと私は考えています。
| やり方 | 向いている | 気を |
|---|---|---|
| 家族で | 近くに住む家族が何人かいる。時間をかけられる | 自治体のごみの日と、1回に出せる量。重い家具は無理に運ばない |
| 一部を | ごみは家族で出し、大きな家具・家電だけ頼む | 頼むものを紙に書いて、見積もりの範囲をはっきりさせる |
| 全部を | 遠くに住んでいる。退去の期限が近い | 探してほしいもの(通帳・印鑑・貴金属など)を紙に書いて渡す |
値段のつくものを先に抜くと、片付けの総額が下がることがあります。
私たちが相談を受けた3LDKと倉庫の家では、最初に聞いていた費用が30万円でした。
処分品の中から値打ちのあるものを見つけて売り、その分だけ処分品が減って運ぶ費用も減り、合う業者を選んだことで、14万円になりました。
ゴミ屋敷の家ではありませんが、売れるものを先に分ける考え方は同じです。
6業者の許可と見積もりの見方
家庭から出るごみを、業として集めて運ぶには、市区町村長の許可が要ります(廃棄物処理法第7条)。
環境省は、家庭の廃棄物を回収できるのは一般廃棄物処理業の許可を持つ業者で、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では回収できない、と案内しています。
大音量で町を回る、空き地で集める、チラシを配る、ネットに広告を出す、といった形の無許可の回収業者を使わないよう呼びかけています。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第7条(e-Gov法令検索)、環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」。いずれも2026年11月2日に確認。
| 見積もりで | 聞き方の |
|---|---|
| ごみを運ぶ | 「実家のある市区町村の、一般廃棄物の許可か委託はありますか」 |
| 追加の | 「当日に物が多かった時、追加の費用はかかりますか。かかるなら、いくらからですか」 |
| 買い取る | 「値段のつくものが出てきたら、見積もりから引いてくれますか。その時、古物商の許可はありますか」 |
| 探して | 「通帳や印鑑、指輪が出てきたら、捨てずに分けてもらえますか」 |
見積もりがすごく安い業者は、実際にやってみるとその金額ではなく、後で追加の費用を求められることがよくあります。
相場が分からないので、何社かで見積もりを取るのはよい方法です。
ただ、安いからといってそこに決めるのは、あまりよくありません。
7よくある質問
実家のゴミ屋敷はどうしたらいいですか?
最初に、親が今その家に住んでいるかを確かめます。
住んでいるなら、片付けより先に親と話し、地域包括支援センターか市区町村の窓口に相談してください。
入院や施設への入居、亡くなったことで空いている家なら、通帳や書類、値段のつくものを先に探してから、片付けを頼みます。
母が業者を頼むのを嫌がります。どうすればいいですか?
無理に業者を入れず、親が困っていること(転びそう・火が心配・虫が出る)から話します。
総務省の調査では、片付かない事例の主な理由に、市区の対応について居住者から理解を得られない、居住者が解消を望んでいない、が挙がっています。
家族だけで抱えず、地域包括支援センターや市区町村に相談してください。
親が入院中に実家に入ったら、ゴミで玄関がふさがっていました。費用はいくらかかりますか?
費用は、間取りとものの量、運び出しやすさで大きく変わるので、ここでは金額を書いていません。
2〜3社に見に来てもらい、何にいくらかかるかを書いた見積書で比べます。
見積もりが極端に安い業者は、後で追加の費用を求められることがあります。
ゴミ屋敷のことを役所に相談できますか?
相談できます。
環境省の調査(令和6年度)では、市区町村がごみ屋敷の事案を知るきっかけに、原因者の親族などからの相談が挙がっています。
高齢の親なら地域包括支援センター、ごみの出し方なら市区町村のごみの担当課が窓口です。
片付けの費用を補助してもらえることはありますか?
市区町村によります。
環境省の調査には、生活保護の担当課が撤去の費用を保護費で支給した例や、高齢者のごみ出しの支援の対象にごみ屋敷に住む人を含めている市区町村の例が載っています。
実家のある市区町村に、使える支援があるかを聞いてください。
次の資料を2026年11月2日に確認して書きました。
環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月)、環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」。
総務省行政評価局「『ごみ屋敷』対策に関する調査結果(概要)」(2024年8月28日通知)。
e-Gov法令検索「民法」第921条、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第7条、「介護保険法」第115条の45・第115条の46。
Yahoo!知恵袋の「実家 ゴミ屋敷」の質問の一覧。
片付けの日数、通帳や値段のつくもの、家具・家電、見積もりの話は、私が片付けの現場で見てきたことです。ゴミ屋敷の片付けの費用の相場は、確かめられる出典がなかったので書いていません。







