母の毛皮のコートを売りたいけれど、ワシントン条約に引っかかるのだろうか。
ミンクやフォックスは大丈夫なのか、ヒョウ柄のコートはどうなのか。
この記事は、環境省の資料を自分で開いて確かめたことだけを書いています。
ミンク・フォックスなど、多くの毛皮はそのまま査定に出せます。ヒョウなどは、登録票を探してから相談してください。
ただし、確かめられたのは種の保存法の範囲です。
輸出入のルールは別の制度で、ここでは確かめていません。
タグにミンク
タグにフォックス
タグにロシアンセーブル
書いているのは、2008年から買取の現場にいる佐野真です。
リユース相談本舗では、ヒョウ(レオパード)など売り買いが制限される毛皮は、断ることが多いです。
だから、手元の毛皮が何なのかは、査定の前に品質表示で確かめてください。
1ワシントン条約と種の保存法の違い
国内で毛皮を売る時に関係するのは、条約そのものではなく、日本の法律である種の保存法です。
環境省のパンフレットは、ふたつを分けて説明しています。
ワシントン条約は国際的な輸出入の規制、種の保存法は国内での取引等の規制です。
| 決まり | 何を規制するか | 売る時に |
|---|---|---|
| ワシントン条約 | 国際的な輸出入の規制 | 国内の売り買いを決めているのは、次の種の保存法 |
| 種の保存法 | 国内での売る・買う・あげる・もらう・貸す・借りる。販売目的の陳列・広告も原則禁止 | 対象の種の毛皮なら関係する |
| 登録票 | 登録を受けた個体等の証明。登録すると、売り買いができる | 対象の種を売る時に必要 |
環境省によると、種の保存法の国際希少野生動植物種は、譲渡し等が原則禁止です。
生きた個体だけでなく、はく製や、種によっては毛皮やバッグなどの加工品も含まれます。
毛皮製品が対象になるのは、政令で指定された種だけです。
出典:環境省「譲渡し等の規制」・パンフレット「希少な野生動植物種を飼育・販売される皆さんへ」(どちらも2026年11月3日に確認)。
2ミンク・フォックスは対象?環境省の一覧で確かめた結果
対象の種は、環境省の「種の保存法における規制対象種一覧」(令和8年3月5日時点)に載っています。
この一覧の国際希少野生動植物種の欄を、毛皮に関係する動物で1つずつ探しました。
| 毛皮の | 環境省の | 売る時 |
|---|---|---|
| ミンク | 載っていない(いたち科で載っているのは、カワウソ類・ラッコ・クロアシイタチだけ) | そのまま査定に出せる |
| フォックス | 載っていない(いぬ科で載っているのは、オオカミ・ヤブイヌだけ) | そのまま査定に出せる |
| セーブル | 載っていない | そのまま査定に出せる |
| ヒョウ | 載っている。毛・皮・歯・爪と、毛皮製品などの加工品が対象 | 登録票が必要 |
| トラ・ | ねこ科の24件が載っている。ヒョウと同じく、毛皮製品が対象 | 登録票が必要 |
| チンチラ | 載っている。ただし「繁殖させた個体等は譲渡し等の禁止の適用除外」と書かれている | 日本毛皮協会は、毛皮用のチンチラはすべて養殖としている。迷ったら店に相談 |
| ラビット | うさぎ科で載っているのはアラゲウサギとメキシコウサギだけで、毛皮製品は対象になっていない | 規制の面では、そのまま査定に出せる(買取は難しいことが多い) |
| ラクーン | 載っていない | そのまま査定に出せる |
出典:環境省「種の保存法における規制対象種一覧」(令和8年3月5日時点・種の保存法施行令別表第二)・「国際希少野生動植物種」。日本毛皮協会「毛皮の種類」。すべて2026年11月3日に確認。「売る時」の列は、一覧の結果にもとづくリユース相談本舗の案内。
表のとおり、ミンク・フォックス・セーブルは、この一覧には載っていません。
国際希少野生動植物種に指定されていない種は、種の保存法で売り買いを禁じられていません。
ただし、これは種の保存法についての確認です。
海外へ持ち出す、海外から持ち込む時は、別の制度になります。
品質表示のタグに「ミンク」「フォックス」と書いてあれば、そのまま査定に出して構いません。
タグの見方は、下のとおりです。
- 品質表示のタグを探す衿の内側や裏地のまわりに、白や黒のタグがついていることが多いです。
- 「毛皮」の欄を読むミンク、フォックス、ロシアンセーブルなど、動物の名前が書いてあります。
- ヒョウ・トラなどなら、登録票を探すねこ科の毛皮は、売る前に登録票があるか確かめます。
- 何の毛皮か分からなければ、そのまま店に見せるタグがない、読めない時は、タグの写真と全体の写真を送って相談します。
ボレロ
タグにミンク
コート
タグにフォックス
フォックス
衿と袖のコート
セーブルの衿のコートも、同じ見方です。
タグの「毛皮」の欄に、セーブルやロシアンセーブルと書いてあります。
セーブルは、環境省の一覧には載っていません。
タグにセーブル
タグにロシアンセーブル
3海外へ着ていく・持ち込む時は別の制度
知恵袋には、毛皮のコートを海外旅行に着ていくのは危険か、という質問があります。
ここまで書いたのは、国内で売る時の種の保存法です。
海外への持ち出し・海外からの持ち込みは、ワシントン条約にもとづく別の制度で決まります。
| 場面 | 見る制度 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 国内で売る・譲る | 種の保存法(環境省の一覧) | 環境省、登録機関の自然環境研究センター |
| 海外へ持ち出す・海外から持ち込む | ワシントン条約にもとづく輸出入の制度 | 経済産業省の貿易管理の窓口、税関 |
税関は、条約の規制が生きた動植物だけでなく、コートなどの衣類にも及ぶと案内しています。
環境省のQ&Aに、ビクーニャの例があります。
条約の附属書IIの個体群の毛皮を合法に輸入しても、国内では譲渡しの規制の対象になります。
条約の決まりと国内の決まりは、別々に確かめる必要があります。
ミンク・フォックスなどを持って海外へ出る場合の扱いは、確かめられていません。
出発前に、経済産業省か税関に問い合わせるのが確実です。
購入した店に、毛皮の動物名が分かる書類があれば、持っていくと話が早くなります。
出典:税関「ワシントン条約」・環境省「種の保存法 Q&A」(どちらも2026年11月3日に確認)。
4ヒョウの毛皮を持っている時(登録票)
ヒョウの毛皮は、登録票がないと売ることも譲ることもできません。
古い毛皮でも、同じです。
登録を受けていない国際希少野生動植物種の譲渡し等は、違法になります。
- 登録票を探す購入した時の書類や箱、引き出しの中を探します。
- あったら、毛皮と一緒に保管する譲渡する時は、登録票と一緒にします。譲り受けた人は、30日以内に届出が必要です。
- なければ、売らずに相談する登録を受けられるのは、規制の適用前に国内で取得したもの、関税法の許可を受けて輸入したもの、国内で繁殖させたものです。
- 登録を申請する登録機関の自然環境研究センターに、登録申請書、毛皮の写真、入手の経緯を証明する書類を出します。
気をつけたいのは、環境省が書いている次の点です。
登録票は登録済みであることの証明で、種名を保証するものではありません。
登録票があっても、それだけでは何の動物か決まりません。
リユース相談本舗では、ヒョウなどは断ることが多いです。
登録票がある毛皮を査定に出せるかは、先に店へ相談してください。
出典:環境省「個体等の登録制度」・パンフレット「希少な野生動植物種を飼育・販売される皆さんへ」(どちらも2026年11月3日に確認)。
5登録票がない時の罰則とネット出品
環境省のパンフレットに、罰則の上限が載っています。
| 違反の | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 登録なしの | 5年以下の拘禁刑か5,000,000円以下の罰金、またはその両方 | 100,000,000円以下の罰金 |
| 販売目的の | 1年以下の拘禁刑か1,000,000円以下の罰金 | 20,000,000円以下の罰金 |
パンフレットには「インターネット上の広告も対象」と書かれています。
知恵袋にも、豹の毛皮のコートを出品できるか、という質問があります。
フリマやオークションに出す前に、登録票があるかを確かめてください。
登録票がないまま出品すると、広告の違反になることがあります。
出典:環境省パンフレット「希少な野生動植物種を飼育・販売される皆さんへ」、e-Gov法令検索「種の保存法」第21条第5項・第57条の2・第58条・第65条(2026年11月3日に確認)。刑の名前は、2025年6月に懲役が拘禁刑に変わったため、条文に合わせています。
値段が低い理由毛皮の6よくある質問
ミンクの毛皮はワシントン条約で規制されていますか?
国内で売る場合に関係する種の保存法では、ミンクは規制の対象ではありません。
環境省の規制対象種一覧(令和8年3月5日時点)に、ミンクは載っていません。
輸出入の制度は別です。
海外へ持ち出す時は、別に確かめてください。
フォックスやセーブルの毛皮も売れますか?
環境省の一覧には、キツネ(フォックス)もクロテン(セーブル)も載っていません。
種の保存法の面では、そのまま査定に出せます。
値段は、種類・タグ・形・状態で決まります。
豹の毛皮のコートは出品・売却できますか?
登録票があれば、登録票と一緒に譲渡できます。
登録票がない国際希少野生動植物種の譲渡し等は、違法です。
ネット上の広告も対象なので、出品の前に登録票を探してください。
登録票がない古いヒョウの毛皮はどうすればいいですか?
売らずに、登録できるかを確かめます。
規制の適用前に国内で取得したもの、関税法の許可を受けて輸入したもの、国内で繁殖させたものは、登録の対象です。
登録機関の自然環境研究センターに、入手の経緯を証明する書類などを出して申請します。
登録票があれば、何の動物か保証されますか?
されません。
環境省は、登録票は登録されていることの証明で、種名を保証するものではない、と書いています。
ヒョウ柄のコートも規制の対象ですか?
規制は、柄ではなく動物の種で決まります。
品質表示のタグの「毛皮」の欄に、ヒョウなど対象の動物の名前があるかを見てください。
ミンクやフォックスの毛皮に、ヒョウ柄をつけた品もあります。
タグで分からない時は、写真を送って店に相談してください。
毛皮のコートを海外旅行に着ていってもいいですか?
海外への持ち出しは、種の保存法ではなく、ワシントン条約にもとづく輸出入の制度で決まります。
ミンク・フォックスの扱いは、確かめられていません。
出発前に、経済産業省か税関に問い合わせてください。








